《ブラジル》リオ市=麻薬密売組織の不動産を取り壊し=ミリシアを真似、資金洗浄に利用
14日付G1サイトなどによると、リオ州市警と軍警、リオ市治安局(Seop)、州検察局(MPRJ)から成る合同チームは13日、リオ市北部マレー地区にある麻薬密売組織が所有する40の物件の取り壊し作戦を開始した。 これらの物件は、リオ市を本拠とする国内最大級の犯罪組織「コマンド・ヴェルメーリョ(CV)」がミリシア(民兵)の手法を取り入れ、犯罪行為から得た資金を洗浄するために不動産投機に利用したものだ。その内の一つで4階建ての高級物件は、地域を支配する麻薬密売人ジョルジ・ルイス・モウラ・バルボーザ容疑者(通称アルヴァレンガ)が利用する予定だったと見られている。同容疑者は86件の犯罪歴があり、現在も逃亡中だ。 この4階建て住宅はまだ建設中だったが、内装には大理石を使い、ジャグジー(噴流式泡風呂)、滝付きプール、バーベキュー施設を備えたレジャーエリアなどの贅を尽くした仕様で、特に捜査官の注目を集めた。別の2階建て高級物件にはさらに大きなプールがあった。市役所の技術者たちは、この2戸の物件の解体により、麻薬密売組織に500万レアルの損失が生じると見積もっている。 捜査によれば、アルヴァレンガは、マレー地区を構成するファヴェーラ(貧民街)の一つであるウニオン公園内にある高級マンション全体の建設に関する責任者であることが分かっている。 同作戦を担当するペドロ・カスンデー警部は、「我々はこれらの物件が賃貸や売買などの商業取引のために利用されていることは知っていた。だが、麻薬密売人をかくまい、犯罪活動の拠点としても利用されていることは知らなかった。今日は、これらの高級物件の中に麻薬密売人の隠れ家として使われているものが複数あることを発見した」と説明した。 指名手配者情報サイト「ポルタル・ドス・プロクラードス」によれば、アルヴァレンガは多くの武装犯罪者によって守られており、目立たないよう、ファヴェーラ内をほとんど移動しない。そのため、治安当局のデータベースの彼の写真はずっと、更新されずにいたが、最近になって最新画像が手に入った。 警察によれば、アルヴァレンガが所有または関与している物件は、ウニオン公園の「麻薬密売のための集合住宅」の一部だ。同ファヴェーラには違法に建設された家やアパートが約300戸あり、麻薬密売の資金洗浄に使われている。 MPRJによれば、これらの物件の中には6階建てのものもあるが、90%はまだ建設中で無人状態だった。これらの物件は市からの許可も得ずに建設されており、技術管理者もいない。 対象となっている全ての物件を撤去するための期限は設けられていない。同地域には解体用の機材を入れることが難しく、解体作業はハンマーを使って手作業で続けられている。