米大統領選の生成AI悪用に危機感、ビッグテックは個別に対応。ディープフェイク対策は機能するか?
「AI由来の偽情報」は世界最大のリスク、選挙イヤーの24年が転換点
生成AIが急速に進化してから初めて迎える米大統領選。前出のランバート氏は「人々がAIをどのように不正利用し、その問題の原因がどう分析され、メディアによってどう扱われるか。今回の米大統領選はそれを知るストーリーの決定的要素になる」と指摘している。世界が注視する超重要イベントの米大統領選が、生成AIの発展や規制の方向性を決める上で、重要な節目となる可能性がありそうだ。 また、2024年はまれに見る選挙イヤー。米国のほか、インドやロシア、台湾(1月13日に終了)で大統領選あるいは総統選が実施される。国政選挙は50カ国以上で行われ、世界人口の半数以上が投票に行くことになるという。 その結果は民主主義の未来や、人権、安全保障、気候変動対策などの様々な分野に重大な影響をもたらすことになるが、生成AIを使ったフェイク情報がどの程度、人々の決定に絡むのか。 世界経済フォーラム(WEF)は1月10日に、『グローバルリスク報告書2024年版』を発表し、「AIを通じた誤報・フェイク情報」を短期(今後2年)のグローバルリスク・ランキングのトップに据えた。2位の「異常気象」に続いて「社会の二極化」が3位で、以下、「サイバー犯罪とサイバーセキュリティーの低下」「国家間武力紛争」「不平等」。ニセ情報の広がりと社会不安との絡み合いが世界のリスクの中心になるとしている。
文:奥瀬なおみ /編集:岡徳之(Livit)