NHKネット配信 テレビ契約済みなら無料、ただ乗り抑止を模索中 必須化で何が変わる?
日本民間放送連盟の遠藤龍之介会長は14日の定例記者会見で「番組関連情報で何をやるのかがあいまいだ。(公正な競争に支障が生じないよう)民放や新聞社の話を聞き丁寧にくみ取ってほしい」と要望した。
■9~10月めどに業務規定
今後、NHKは9~10月をめどに、ネット配信に関する業務規程を作成する。番組関連情報を提供するサイトの名称とその内容のほか、外部プラットフォームや交流サイト(SNS)にどの範囲まで提供するのかといった業務の中身を、具体的に盛り込む方針だ。
作成の際、市場調査を実施した上で、学識経験者やメディア関係者を含めた会議体を設け、公正な競争が阻害されないかなどの観点から意見を聞く。ネット業務の枠組みは令和7年度予算に反映される。これまでネット関連業務の予算は200億円の上限が設けられていたが、上限の撤廃が検討されている。
そもそも、なぜNHKのネット配信を必須業務化する必要があったのか。
稲葉氏は、偽情報が蔓延するネット空間に「健全な民主主義の発達に寄与するため、信頼性の高い情報を安定的に提供したい」と公共放送の責務を強調する。一方で、人口減少やテレビ離れで受信料収入の減少が続く現状にあって、ネット受信料という新たな収入源は、NHKの将来に欠かせないものとみられている。
いずれにしろ、受信契約の義務を負う国民が納得できる制度やチェック機能を実現できるのか、サービス開始までに乗り越えるべき課題は少なくない。(大森貴弘)