【藤井聡太竜王・名人 新春合同取材】――全冠制覇から2024年に向けて――
守る意識はない、盤を挟んでしまえば常に対等
■新年最初の王将戦には、しっかりとよりよい状態で臨む ――八冠を守る立場になってから、気の持ち方は変わりましたか。 藤井 対局に臨むうえでの気持ちは、これまでと変わりません。盤を挟んでしまえば、立場の違いは関係なく対等の勝負になるので、意識せずに臨んでいます。 ――2024年の抱負を教えてください。 藤井 新年からは王将戦七番勝負が始まりタイトル戦が続くので、まずはそこに向けて準備したいですし、2023年の対局を振り返ると、序盤からさまざまな展開になることが増えてきたので、しっかりと対応できる力を身につけていきたいですね。 ――王将戦七番勝負への意気込みを教えてください。 藤井 年が明けてすぐに始まるタイトル戦ですし、注目度が高い対局でもあるので、しっかりとよりよい状態で臨んでいきたいですね。 ――八冠になって対局数は減りますが、今後はどのように調整していきますか。 藤井 順位戦を指さなくなったことで、対局が続く時期とそうでない時期がありますが、対局が少ないときは練習対局の機会を確保したり、取り組み方に差が出ないように、しっかりやっていきたいと思います。 ――将棋とそれ以外で、取り組みたいことを教えてください。 藤井 将棋は序盤が多様化しているので、それに対してしっかりと対応していくことや、自分自身もこれまで指していない形も、試すことができたらと思います。将棋以外で、鉄道では地方でまだ乗ったことのない路線が多いので、機会を少しずつ作っていけたらなと思います。 ――いま注目している棋士はいますか。 藤井 自分より若い世代の棋士がどういう将棋を指すのかは、注目しています。 ――鉄道好きの藤井竜王・名人にとって、どういうタイプの鉄道が好きですか。 藤井 粘着式鉄道だけではなくて、ケーブルカーであったり、磁気浮上式であったりこだわりはありません。それを含めて乗ったことがない路線は多いので、少しずつ乗っていきたいですね(笑)。 ――時間があればどんな気分転換をしますか。もし鉄道に乗るとしたら、どの路線に乗りたいですか。 藤井 時間ができても基本的には将棋がベースになりますが、ずっと長時間だと集中力も落ちるので、気分転換も必要です。機会があれば海外の鉄道に乗ってみたいです。 ――藤井竜王・名人は駒を着手するときに、手前の駒に重ねて打つことはありませんが、それはなぜですか。 藤井 意識したことはありませんが、自分のクセかなと思います。 ――将棋は八冠を達成しましたが、楽しまれているチェスを本格的にやって、世界に打って出る考えはありますか。 藤井 将棋とチェスは基本的な考え方は共通する部分も多いですが、実力を伸ばしていくのは大変なので、現状ではチェスプロブレムを中心に、楽しめればよいかと思っています。