56年前のテレビ中継映像を神戸で発見 MBS「完全な形珍しい」
関西お笑い史にとっても大変貴重な資料
大阪のテレビ局「MBS毎日放送」は4日、同局で56年前に放送されたお笑い番組の中継映像が発見されたと発表した。映像は同局がテレビ放送を開始した年から約1年後のもので、当時はVTRが非常に高価だったため、番組保存に使われることはなかったという。同局では「草創期におけるテレビの劇場中継、関西お笑い史にとっても大変貴重な資料と考えられます」と話している。
夢路いとし・喜味こいし主役。大村崑の姿も
同局によると、今回見つかった映像は、1960年に放送された同局のコメディ劇場中継番組「コミック捕物帖まげもの110番」の1960年2月3日に放送された第23話「屋根の上の捕物の巻」。関係者によると、同局の放送開始が1959年3月1日のため、開局からわずか1年後の映像だという。 さらに「当時VTRは非常に高価だったんで、番組保存に使われることはなかったんです。だからウチの番組ライブラリーには当時の映像は自社製作番組はほとんど残っていないんです」と同局関係者は続ける。 「コミック捕物帖まげもの110番」は、モニターに映された南街シネマからの劇場中継映像を、16ミリフィルムカメラで撮影したもので、フィルムで保存されていたという。作・演出は「どてらい男(やつ)」や「細うで繁盛記」など数々のテレビ作品を手がけた小説家・脚本家の花登筺(はなと・こばこ)さん。同局では、花登さんの作品では1959年3月9日から放送した「番頭はんと丁稚どん」が大ヒットを記録したが、保存されているフィルムは放送日が不明な上、一部映像が欠落した不完全なものしかないという。 しかし、今回発見された「コミック捕物帖まげもの110番」は当時のCMまで残された完全なもの。そのため「テレビ草創期におけるテレビの劇場中継関西お笑い史にとっても大変貴重な資料と考えられます」と関係者は力強く語る。 しかも、同番組は主役の夢路いとし・喜味こいしが扮する同心と、茶川一郎、大村崑扮する岡っ引きが登場する時代劇。「裸の大将」などでおなじみの芦屋雁之助、芦屋小雁も岡っ引き役でレギュラー出演していた。 だが、今回発見された第23話は休演。江戸時代の設定だが、岡っ引き役の芦屋雁之助、芦屋小雁が休んでいる説明に「労働基準法を盾に休暇をよこせと言われた」などシュールなセリフが飛び出しており、大村崑が屋根の上の瓦が「ベニヤ板や」と暴露したり、茶川一郎が「予算の関係」と返すなど現代でも充分楽しめる内容になっているという。