「プロバイオティクス」JAXAが宇宙食への応用を研究
宇宙航空研究開発機構(JAXA)とヤクルトは、2017年度からプロバイオティクスを用いた宇宙食の実用化に向けた摂取実験を開始します。JAXAによると、プロバイオティクスを宇宙食に応用した国はなく、実験が開始されれれば世界初だとしています。
プロバイオティクスは、乳酸菌やビフィズス菌など、免疫機能の調節や腸内環境の改善といった有益な効果が期待される微生物です。味噌やヨーグルト、乳酸菌飲料などの食物に含まれます。 被験者は、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士。実験では、凍結乾燥した乳酸菌粉末を含むカプセルを用います。ISSでは冷蔵スペースが限られるため、常温保存が可能な粉末を開発しました。被験者数は、カプセル摂取者5人、非摂取者5人の計10人。打ち上げ前からISS滞在時、帰還後にかけて、それぞれの唾液や血液などを採取し、効果を確かめます。 JAXAがプロバイオティクスを用いた宇宙食の研究に取り組むのは、宇宙飛行士の健康維持のためです。宇宙での滞在により、宇宙飛行士の免疫機能が低下する危険性が指摘されています。腸内環境の悪化が一因とも考えられているそうです。 有人宇宙技術部門長の浜崎敬理事は「月および火星への超長期航行時においても、プロバイオティクスが宇宙飛行士の健康管理面で大きく貢献すると期待している」と話しています。 (取材・文:具志堅浩二)