「ヤマトタケル」市川團子は「演じるほど新たな発見」中村壱太郎「團子くんと心を通わせて」
スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」の愛知・御園座公演と大阪・大阪松竹座公演に向けて、市川團子と中村壱太郎の取材会が3月25日に大阪府内で行われた。 【写真】笑顔の市川團子。 「ヤマトタケル」は、哲学者の梅原猛が三代目市川猿之助(二世市川猿翁)に書き下ろした1986年初演作。“スーパー歌舞伎”というジャンルを新たに打ち立て、上演が重ねられてきた。去る3月20日に幕を下ろした東京・新橋演舞場公演では、中村隼人と團子がWキャストで小碓命後にヤマトタケル / 大碓命を勤め、中村米吉が兄橘姫 / 弟橘姫を演じた。御園座公演と大阪松竹座公演では、團子がシングルキャストで小碓命後にヤマトタケル / 大碓命を勤め、壱太郎が兄橘姫 / 弟橘姫を演じる。なお御園座で「ヤマトタケル」が上演されるのは初、大阪松竹座では約16年ぶりとなる。 團子は「2・3月に2カ月間、新橋演舞場で『ヤマトタケル』に出演させていただきましたが、ヤマトタケルという役を演じれば演じるほど、どんどん新たな発見が生まれ、深く哲学的な作品であると感じました。親子の葛藤、友との友情、愛する人との関係、そして自分の生き方や戦についてなど、人間の普遍性がすべて詰まった作品で、自分と同じ世代の方にも自然と何かを感じていただけると思います。言葉も現代語にほぼ近く、どんな世代の方でもわかりやすく観ていただける、楽しんでいただけると確信しています。私自身も、祖父のように、『天翔ける心……それがこの私だ!』としっかりとお客様に伝えられるような役者になりたいですし、この作品の魅力をお伝えできるように精一杯努めたいと思います」と語る。 壱太郎は「ずっと思いを馳せていた作品の1つですので、こうして出演させていただけますことをうれしく思います。スーパー歌舞伎はなにか大きなメッセージ性があるというところに心打たれますし、哲学者の梅原先生がお書きになった『ヤマトタケル』という戯曲を、今の時代にどうお伝えできるかを意識して勤めたいです。新橋演舞場で2カ月間、團子くんと共演し、兄橘姫 / 弟橘姫を演じた米吉くんからも話を聞きましたが、早替りもありますので、チームワークが大事だと感じました。それぞれの役の心理を深く探っていきながら、團子くんと心を通わせ、情熱をぶつけ合って演じたいと思います。中学生、高校生、大学生を中心に、老若男女問わずさまざまなお客様にご覧いただきたいです」と期待を込めた。 御園座公演は5月6日から19日まで、大阪松竹座公演は6月8日から23日まで行われる。なお10月には福岡・博多座でも本作が上演され、隼人と團子、米吉と壱太郎がそれぞれWキャストで出演する。 ■ スーパー歌舞伎「三代猿之助四十八撰の内『ヤマトタケル』」 2024年5月6日(月)~2024年5月19日(日) 愛知県 御園座 2024年6月8日(土)~2024年6月23日(日) 大阪府 大阪松竹座 □ スタッフ 作:梅原猛 監修:石川耕士 脚本・演出:市川猿翁 □ 出演 小碓命後にヤマトタケル / 大碓命:市川團子 兄橘姫 / 弟橘姫:中村壱太郎 帝:市川中車 タケヒコ:中村福之助 熊襲弟タケル / ヘタルベ:中村歌之助 犬神の使者 / 琉球の踊り子 / 新朝臣:嘉島典俊 ヤイラム / 帝の使者:市川青虎 尾張の国造:嵐橘三郎 老大臣:市川寿猿 倭姫:市川笑三郎 国造の妻:市川笑也 熊襲兄タケル / 山神:市川猿弥 皇后 / 姥神:市川門之助 みやず姫:市川笑野 / 市川三四助