「お客様の笑顔をつくるため」目的地までの新幹線旅を彩る立役者たち
ワゴン販売が終了して増えたこともっと親しまれる存在に
「笑顔でワゴン販売をしていたパーサーが、駅のホームではきりっとした表情で颯爽と歩いている。そのギャップが素敵で、私もやりたいと思いました」 17年に入社した藤田有紀さん(31歳)が入社の動機を語る。しかし、そのワゴン販売は昨年10月に終了した。「ワゴン販売をしたくて入社したので終了は寂しかった」と思いを率直に語る。乗客が喜ぶ顔を見ることがやりがいでもある。「ワゴン販売はいつ来るのか」と尋ねる乗客もいて、当初は苦しい思いをしたという。 だが、ワゴン販売がなくなった一方で、車内を巡回する時間が増えた。「以前は時間がなくて一人ひとりのお客様にサービスしたいと思ってもできることが限られていましたが、今は会話をする余裕も増えました。車窓から見える富士山をバックに写真をお撮りすることもあったりと、接客の質は上がったと思います」。 藤田さんのこだわりは笑顔である。「この乗務員さんになら声をかけてみようかな」と思われる雰囲気作りに人一倍気をつけている。 ある日のこと。年配のお客様の困りごとに対応した後、「飛行機にはキャビンアテンダントがいるイメージがあるけど、新幹線にも素敵な乗務員さんがいるのね」と言われ、それは確信に変わったという。新幹線パーサーも列車の大幅遅延や車内での異常時には車掌やほかのクルーと協力しあって的確に行動する。そのための訓練も欠かさない。「より親しまれる存在になれるように、ブランド力を高めていきたい」。 藤田さんの次の目標ができた。
大坂直樹