日経平均が4万円になっても、生活が苦しくなっていく…それはなぜ?「ヤバい円安」が庶民の暮らしを直撃する「納得の理由」
日銀がマイナス金利を解除すれば、円高に振れる。昨年来、盛んに吹聴された専門家の予測は、見事に裏切られた。異次元の金融緩和の反動はこれからが本番。日本国民を未曽有の物価高が襲う―。 【一覧表】「 日経平均4万円突破」でも“まだ安心して買える”「12の超厳選銘柄」
円の実力は「'70年代」と一緒
「私は今の円安が日本と米国の金利差によるものだとは考えていません。日本円は著しく劣化しており、円安は長期的なトレンドと言っていい。1ドル=200円という水準も現実味を帯びてきたと思っています」 衝撃的な見通しを語るのは、経済ジャーナリストの磯山友幸氏だ。岸田文雄総理が就任してからというもの、急ピッチで進む円安ドル高が止まらない。 3月19日に日本銀行(日銀)がマイナス金利政策を解除すれば、日米の金利差が縮小して円高に振れるなどと言われていたが、実際は違った。再び1ドル=150円台に下落し、152円台をうかがう様相を呈している(4月7日現在)。 いったい、なぜか。磯山氏が解説する。 「日米の金利差だけを為替変動の要因と考えていると、長期的なトレンドを見失ってしまうでしょう。現在の円安は、日本政府と日銀が大量に通貨を発行したことによる、円の劣化が原因です。 円がどれほど劣化しているかは、通貨の総合的な実力を示す『実質実効為替レート』を見れば一目瞭然です。'20年の実質実効為替レートを100としたとき、統計を取り始めた'70年1月は75.02でしたが、'24年2月は70.25です。統計開始以来、日本円の価値は最低となっている。'70年の為替レートは1ドル=360円の固定相場制でしたが、今の円の実質的な価値はその当時よりも低いのです」
「1ドル=200円」の時代がやってくる
もちろん、日銀の利上げや米FRB(連邦準備制度理事会)の利下げなどの金融イベントがあれば、短期的には円高に振れる局面もあるだろう。 しかし、長期的な円安トレンドは変わらないと磯山氏は力説する。 「金融アナリストは、1年前には1ドル=120円まで戻ると言っていましたが、さすがにそんな人はもういなくなりました。実質的には1ドル=360円だった水準になっているわけですから、今後は1ドル=200円になってもおかしくありません」 すでに現状の円安水準で、庶民の暮らしは相当厳しくなった。多くの国民は、スーパーなどでの食品の買い物で強烈な物価高を痛感している。 経営する側も辛い。東京都練馬区の食品スーパー「アキダイ」社長の秋葉弘道氏がこう話す。 「円安は日本の食生活に非常に大きな悪影響を与えています。国産のものでも、餌や肥料を輸入するコストが上がって価格が高騰しています。外国産のものは為替の影響で価格が上がる。円安以外にも、運送料の上昇、電気代の高騰、異常気象による農作物の価格上昇など、われわれスーパーを取り巻く状況は年々厳しくなっています。 現実的には店頭価格へ転嫁していかなければなりませんし、実際、商品を選んで値上げしています。一方でお客様も価格への関心がこれまでで一番高くなっていると、肌で感じています。こうしたなかで、なんとかお客様に足を運んでもらえるよう、ここ数年間、ずっと我慢をしてきました」