「国内店舗倍増を目指す」「メニュー数は削減」…。サイゼがじわじわ「メニュー数」を減らす本質的な理由
現在は一品目特化型の、いわゆる「カテゴリーキラー」といわれるチェーンレストランが多く誕生し、それらの質も向上している。ニーズが複雑化・多様化している中で、「なんでもある」ファミレスが中途半端な存在になり、ニーズに応えられなくなっている側面があるのではないか。いわば、ターゲットがあやふやになっているのだ。 それを証明するように、ファミレス大手のすかいらーくグループは、ガストやジョナサンといったファミレスの一部を「しゃぶ葉」といった一品目特化型のレストランに変えている。
サイゼリヤは、ファミレスとはいっても「イタリアンレストラン」を押し出している点で、どちらかといえば一品目特化型店に近い特徴はある。 ただ、その使われ方はドリンクバーでねばる中高生や、「ちょい飲み」をするサラリーマン、また普通に食事を取るファミリーなど幅広く、実態としては「ファミレス」に近く、このような業界のあおりを受けているのではないか。 ■さまざまな対応を見せるファミレス各社 そんな中、ファミレス内でも、いろいろな動きが出てきている。価格やメニューを変更しながら、よりターゲットを狭めていく動きが見られるのだ。
例えば、すかいらーくグループのガスト。2023年にグランドメニューを改定しているが、ここでは「アルコールの全品値下げ」等を打ち出している。コロナ禍以後に復活してきた「ちょい飲み」需要を拡充させ、結果的には客単価の増加を狙う意図も見えるが、ただでさえ円安が急激に進行し、物価高が進む現在において「値下げ」に踏み切っている。 結果として、すかいらーくグループは2025~2027年の中期事業計画によれば、ガストはリニューアルという形でかなりの数が温存されていくようだ。「低価格路線」で現在の潮流に立ち向かうのである。中価格帯の「ジョナサン」が、どんどん数を減らしているのとは対照的だ。
逆に、ロイヤルホストはファミレスでありながらも「高価格帯・高品質」でサービスも向上させる方向に振り切っている。ガストなどで見る「配膳ロボット」の導入も行っておらず、割引も行ってはいない。 こうした「高価格帯への訴求」がうまく働き、運営元のロイヤルホールディングスの2024年6月の中間決算は、売上高・営業利益ともに過去最高を記録している。 いずれにしても、ファミレス内でのポジションを明確にしている企業が強いのが現状だ。