高まる“お金”への関心に疑問「増やすことだけを考えている」 マネー本著者が指摘
「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」の受賞作品が13日に発表され、『きみのお金は誰のため』(田内学・著/東洋経済新報社)が総合グランプリを獲得。さらにリベラルアーツ部門賞も獲得し、W授賞の快挙となった。 【一覧】「オリコン年間BOOKランキング 2023」1位~20位 『きみのお金は誰のため』は、元ゴールドマン・サックスの田内氏が描く“青春「お金」”小説。「ラストで泣ける」など話題を集め、昨年10月の発売から3ヶ月で異例の15万部を突破した。 W受賞について田内氏は「読者が選ぶ(アワード)ということで、読んでくださった方によかったと言ってくださったり、周りの人にすすめたいという声をいただいたりしてうれしかった」と喜びのコメントを寄せた。 さらに世間でお金への関心が高まっていることについて「新NISAなどお金を増やすことを考えている人が増えている。だけど、ただ増やすことだけに注力してしまっている印象」と持論を述べ、「ある意味お金さえあれば誰かが受け取って解決してくれるという考えでしょうが、それは問題。自分たちが社会をつくっていく。それが未来を変える、制度を変える。それをこの本で一番伝えたかった」と、執筆のいきさつを語った。 同アワードは、本の要約サービス『flier(フライヤー)』を運営する株式会社フライヤーとグロービス経営大学院によるもの。その年に発売されたビジネス書の中から読者(=ビジネスパーソン)が投票し、「読むべき本」を選出する。ビジネスパーソンの読書習慣を育てて出版業界を盛り上げたいという思いから創設された。 今回で9回目。今回は一昨年12月から昨年12月までに刊行された53の出版社より122冊と、フライヤーとグロービス経営大学院らが推薦した1冊を合わせた合計123冊がエントリーされた。 【受賞作品一覧】 ●総合グランプリ/リベラルアーツ部門賞 『きみのお金は誰のため』(田内学・著/東洋経済新報社) ●イノベーション部門賞 『温かいテクノロジー』(林要・著/ライツ社) ●マネジメント部門賞 『任せるコツ』(山本渉・著/すばる舎) ●政治・経済部門賞 『社会の変え方』(泉房穂・著/ライツ社) ●自己啓発部門賞 『世界一やさしい「才能」の見つけ方』(八木仁平・著/KADOKAWA) ●ビジネス実務部門 『頭のいい人が話す前に考えていること』(安達裕哉・著/ダイヤモンド社) ●<特別賞>ロングセラー賞 『DIE WITH ZERO』(ビル・パーキンス・著、児島修(訳)/ダイヤモンド社) ●<特別賞>グロービス経営大学院賞 『冒険の書』(孫泰蔵・著、あけたらしろめ(イラスト)/日経BP)