50代独身で仲のよい家族もいません。資産は死後「法人・団体」に寄付したいのですが、贈与税はかかるのでしょうか?
老後生活の備えとして、資産形成に励む方も多いのではないでしょうか。築いた資産は残される家族にとって有益なものですが、独身で仲のよい家族がいない場合、その人たちに無理に資産を渡すのは気が引けるでしょう。 そこで、資産を法人や団体に寄付をする場合、税金負担は生じるのか……。本記事では、遺贈概要と税金について解説します。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
まだまだ日本では一般的ではない「遺贈」とは
遺贈とは、遺言書を用いて相続財産を他者に引き継ぐことです。遺言書がない状況で相続が発生した場合に、相続財産を引き継ぐのは法定相続人だけとなりますが、遺言書に遺贈することを記載し、相続先を指定すれば法定相続人でなくても相続財産を引き継ぐことができます。 遺贈には2つの種類があります。以下で、それぞれについてみていきましょう。 ■特定遺贈 特定遺贈は、財産を誰に何を渡すか具体的に指定するものです。例えば土地はAという人に、有価証券はBへというような場合です。遺言書にしていないかぎり、受遺者が負の財産を引き継ぐことはありません。 ■包括遺贈 包括遺贈は財産全体に対する割合を示して行うもので、例えば「財産の2分の1を遺贈する」といったものになります。全ての財産には債務も含まれるため、受遺者は負の財産を引き継ぐことがあります。 遺贈には遺言書が必要ですが、公益財団法人日本財団(東京都港区)による「遺贈に関する意識・実態把握調査」によると、遺贈について認知している人は55.4%でした。遺贈をしてみたいかという問いに対しては、関心がある人が23.8%いる一方で、無関心が76.3%という結果でした。 この結果から、日本では遺贈がまだまだ一般的ではないといえるかもしれません。
遺贈にかかる税金と事前に注意すべきこと
遺贈は、贈与税ではなく相続税がかかります。また、遺贈にはいくつか注意点があるのでそれらもみてきましょう。 ■注意点 ・民法上において口頭での遺言は無効になるため、遺贈は遺言書の作成が必要 ・受遺者が配偶者及び一親等の親族以外の場合は、受遺者に対し税額が2割加算になる このように遺贈には必ず遺言書を作成することと、受遺者の税金負担が大きいことが注意点です。前述のように包括遺贈では負の財産も受遺者が引き継ぐことがあるので、自身の財産の全てを適切に把握しておく必要があることも、しっかりおさえておきましょう。