勝敗を分けたのは「お色気」でした…名作バトル漫画に刻まれる「驚きの珍勝負」
■『HUNTER×HUNTER』レオリオのスケベ心を利用した戦い
次は冨樫義博さんによる『HUNTER×HUNTER』(集英社)の戦いの一幕を紹介したい。それがレオリオとレルートとの戦いである。 この戦いはハンター試験でおこなわれた、それぞれの時間と刑期を賭けた勝負だ。その中でレルートは「あたしが男か女か賭けてもらうわ」と誘ってきた。 レルートはどう見ても女性……。しかし、確認方法としてその体を「気が済むまで調べていい」と持ちかけられると、レオリオは迷わず「男に10時間!!」と賭けた。当たっても外れてもレオリオに取ってはどちらでもおいしいというわけだ。「て ゆーか はずれろ!!」と心の中で叫んでいるあたり、勝負そっちのけの下心がうかがえる。 結果はもちろんハズレてしまったが、しっかり確認できたレオリオは幸せそうな顔をしていた。スケベ心を利用されてしまったのが明らかである……。しかも仲間のクラピカとキルアにも「レオリオの奴… 男に賭けるな」「うん」と見抜かれていたから笑ってしまった。
■『NARUTO』誰もが不可避のおいろけの術?
最後は、岸本斉史さんによる『NARUTO-ナルト-』(集英社)でのナルトの戦いを振り返っていこう。ナルトオリジナル忍術の代表といえば「おいろけの術」である。 「おいろけの術」は、ナルトがセクシーな女性に変化して相手の動揺を誘い、隙を作るというものである。命懸けで戦う忍には通用しないと思われるかもしれないが、そんなことはない。イルカを始め、エビスや三代目火影のヒルゼン、自来也などがこの術に引っかかっている。 自来也に至っては、ある意味ナルトが弟子入りできたのはこの術のおかげといってもいいだろう。それが最強忍術のひとつである螺旋丸の習得につながったと考えると、なかなかあなどれない。自来也は分かりやすくスケベなせいで、完全にナルトの手のひらで踊らされていた感もある。またエビスはこの術のせいでむっつりスケベ扱いされており、食らった忍の末路は悲惨だ……。 そして、この術の上位互換に「ハーレムの術」や「逆ハーレムの術」というものもある。特に驚いたのが、大筒木カグヤとの最終決戦でナルトが「おいろけ逆ハーレムの術」を使用したことだ。 この術を使用すると、カグヤの周りを美男子たちが取り囲む異様な光景が広がり、さすがのカグヤも動揺していた。ラスボスにこんな術を使用したうえに、しっかり効いていたのが笑える。カカシはモノローグで「意外性ナンバーワン! まさかナルトのこのエロ忍術が世界を救うことになるのか!!!」と語っていたが、「そこ褒めるところじゃない!」と突っ込んでしまいそうになった。 今回は、お色気系の迷勝負を振り返ってきた。バトル漫画にはシリアスな勝負だけではなく、笑ってしまいそうなものもあるからこそ、目が離せないのだ。
大山元