「大切な人の気持ちがわからないなら声に耳を澄ませて」目の見えない精神科医が声色で相手を見抜ける理由
声は人間にとって第2の顔
なので私にとって一番の苦手は「沈黙」です。 声も息遣いもないとさすがにお手上げ。患者さんが怒って黙っているのか、哀しんで黙っているのか、笑顔で黙っているのか、私には分かりません。沈黙の判別はやっぱり表情が見えないと不可能なのです。 ちなみに企業秘密なのであんまり詳細には書けませんが、患者さんに向けるこちらの「声」には意識的に変化をつけています。 声優さんがアニメとラジオドラマで異なる演技をするように、こちらも患者さんの状態によって、性格によって、伝えたいメッセージによって、言葉遣いはもちろんですが声質も調整して話をしています。 まあそれがどれだけの効果を発揮しているかは分かりませんが……いつかちゃんとした手技として確立できたら発表したいと思います。 そんなわけで、声は人間にとって第2の顔。 「声色」は「顔色」以上に心を反映しています。学校の先生や相談係など、人間相手のお仕事をしていらっしゃる方はぜひ参考にしてみてください。 そして、もしあなたが大切な家族や友人の気持ちが分からずに悩んでいるのなら、相手の声に耳を澄ませてみるのも良いかもしれませんよ。 そしてもしも、あなたが浮気や不倫をしているのなら、バレるのも時間の問題です。だって、浮気をしている人の声にだけ含まれるノイズがありますから。 写真/shutterstock
福場翔太