中京大中京・畔柳、迫る球数制限 準決勝の起用は 選抜高校野球
兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開催中の第93回選抜高校野球大会は31日、準決勝2試合が行われる。準決勝以降は、1人の投手が1週間に投げられる球数を500球以内とする投球数制限の影響が本格化する。特に中京大中京(愛知)のエース右腕・畔柳亨丞(くろやなぎ・きょうすけ)投手(3年)は準決勝で121球投げると、1週間500球に達し、交代しなければならない。先発させるのか、救援に回るのか、今大会屈指の投手の起用法が注目される。 畔柳は25日の1回戦で131球、27日の2回戦で110球、29日の準々決勝で138球をそれぞれ投げ、ここまで計379球。それにより、25日から7日目となる31日の準決勝は121球しか投げられない(500球に到達時点の打者が完了するまでは投球可能)。ただ、勝ち上がった場合は4月1日の決勝では25日の131球がカウントされず、2回戦から決勝までの総球数が500球以内となる。 畔柳は準々決勝の東海大菅生(東京)戦で完封。五回までに6点を挙げ、終盤の継投も考えたという高橋源一郎監督は「流れが相手に行くと、5、6失点は覚悟しないといけなくなる」として最後まで畔柳を投げさせた。 「一戦必勝」を掲げる高橋監督だが、エースの登板にこだわり続けるタイプではないことは、昨秋の東海大会での戦いぶりを見れば分かる。初戦は左腕・柴田青(3年)が完封し、準決勝は畔柳が完封。決勝は柴田と右腕・松田新叶(同)、畔柳による継投で優勝した。 今大会も2回戦の常総学院(茨城)戦では、11―1となった八回からは畔柳に代えて、松田、柴田を登板させた。しかし、2人が打ち込まれて4失点。昨秋のような継投策は取りにくい状況にある。 畔柳の1試合平均の球数は126球。うまく球数を抑えれば、完投ができない数字ではない。しかし延長戦の可能性もあり、疲労が残る中で最後まで投げられるのかは不透明だ。 一番の懸念は、エースが降板後に試合が崩れるケースだ。今大会で春夏通じて初の甲子園出場を果たした柴田(宮城)は、昨秋の東北大会で1回戦から準決勝までエース右腕・谷木亮太(3年)が先発し、4試合で計481球投げた。その結果、仙台育英(宮城)との決勝では別の投手が先発し、序盤から大量失点。谷木も2番手で登板したが傾いた流れは止められず、1アウトしか取れずに500球に到達し交代。1―18で大敗した。 中京大中京にとっては、24年ぶりの決勝進出が懸かる準決勝。エースの起用法について高橋監督は「エースが行けるところまで行ってスイッチするのか。または五、六回まで別の投手で行くのか、考えなければいけない。明豊打線を考えながらゲームプランを立てる」と模索する。 史上最多春夏通算11回の優勝を誇る名門のエースの起用法とその結果は今後、他チームが甲子園大会に臨む上での「指標」となりそうだ。【安田光高】 ◇準決勝での4強チーム投手の投球可能数と総球数 ■天理 達 202(459) 仲川 484(16) ■東海大相模 石川 500(104) 石田 314(238) 求 445(55) ■明豊 京本 436(111) 太田 337(227) 財原 394(208) ■中京大中京 畔柳 121(379) 松田 480(20) 柴田 468(32) ※左から名前、準決勝の投球可能数。かっこ内は総球数 ◇決勝戦もライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」では、決勝もライブ中継します(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2021)。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)でも展開します。