追悼・佐川満男さん 大御所ぶらず「ええよ、ええよ」制作陣からも絶大の信頼…「粋でおしゃれで大人の色気」 ヒット曲『今は幸せかい』
ヒット曲「今は幸せかい」で知られる歌手で俳優の佐川満男さんが12日、胆のう炎のため、84歳で死去した。歌手だけでなく、役者としても輝きを放ち、画家としても個展を開くなど多才ぶりを発揮。温和な人柄で誰からも慕われた人だった。 【写真】元妻の伊東ゆかり 84歳、胆のう炎 2003年に胃がんで、18年には脊柱管狭窄症で手術を受けるなど長年病に悩まされていた。最近は体調が悪く、通院していたが、3月中旬に入院。容体が急変し最期は夫人が看取ったという。 1960年に「二人の並木径」で歌手デビュー。同期には後の〝アニメソング界の大王〟とよばれるささきいさお(81)らがいた。佐川さんはロカビリー歌手としてヒットを連発するも、その後、不遇の時期を過ごす。そんな中、自宅に転がり込んできた中村泰士が作詞曲した「今は幸せかい」を自費製作すると大ヒットしたのはよく知られる話だ。 離婚や一時廃業を経て俳優へと転じると、新たな才能を開花。NHK連続テレビ小説「オードリー」「カムカムエヴリバディ」、TBS系「水戸黄門」など多くのドラマで活躍する一方、関西のテレビ局ではトーク番組などにも多数出演し、温和な人柄がお茶の間にも浸透。19日に公開された映画「あまろっく」(中村和宏監督)にも出演していた。 元MBSプロデューサーで同志社女子大学の影山貴彦教授(メディアエンターテインメント論)は、ドラマ班のアシスタント・ディレクター(AD)だった20代のころ、佐川さんと仕事をともにしたという。 「スターなのに大御所ぶったり、もったいぶったりすることなく、『ええよ、ええよ』と気軽に応えてくれる人でした。キャスティングに困ったら、佐川さんに声をかけたら何とかしてくれると言われていたぐらい、制作サイドからは頼りにされていました。ADにも気さくに声をかけてくださり、上司と現場で板挟みで、いっぱいいっぱいだったADの僕は本当に救われました。感謝しかないです」と振り返る。 そしてこうも語る。
「関西の人ならお分かりになると思いますが、佐川さんは神戸出身だからでしょうか、粋でおしゃれで大人の色気を持った人でした。酸いも甘いも全部かみしめてきたからこそ、かっこいいし、演技にも反映されていたんでしょうね。でも寂しいですね」