【冒頭陳述を詳しく】姉への強盗殺人の罪に問われた女 カネの大半を20年来の知人に渡したか 女は初公判で「殺人」と「共謀」を否定 福岡地裁小倉支部
2023年6月、福岡県水巻町で姉を殺害し、通帳を奪った強盗殺人などの罪に問われている女の裁判員裁判の初公判が5日、福岡地裁小倉支部で開かれました。女は殺人など起訴内容の一部を否認しました。 この事件では、奪った通帳で引き出したおよそ100万円の大半を、女の20年来の知人が受け取ったとされ、その知人は、強盗を共謀し、現場への車を運転しましたが殺意はなかったとして強盗致死の罪で起訴されています。 検察の冒頭陳述を詳しく見ていきます。
強盗殺人、有印私文書偽造・行使、詐欺などの罪に問われているのは、住居不定・無職の辻和美被告(52)です。 起訴状によりますと、辻被告は2023年6月、福岡県水巻町二東の町営住宅で姉のつぐみさん(当時52)に催涙スプレーを噴射した上、首を圧迫して殺害し通帳3冊と印鑑、軽乗用車を奪い、銀行からおよそ100万円を引き出しだまし取った罪に問われています。 検察は冒頭陳述でまず事件の概要として、「多額のカネを借りるなどして世話になっていた実の姉からカネを奪おうと考え、知人の岡村恵美被告(47)とともに強盗を計画した」と指摘しました。 その上で、辻被告が姉のつぐみさんの家に行き、催涙スプレーを噴射し、首を圧迫して殺害して、万が一、動きださないように両手足を拘束し、通帳や車を奪ったとしました。そして岡村被告は、辻被告が被害者を殺害するとまでは思っておらず、殺害は辻被告単独の判断としました。 また、そのほかの罪について時系列で、2023年5月、消費者金融からカネを借りるのに使う保険証を入手するため、住んでもいない住所に住民登録を移したこと、2023年6月、奪った姉の車を無免許で運転したこと、奪った通帳を使って姉になりすまし、2つの銀行からカネを引き出したとしました。
争点について検察は、①辻被告が姉を殺害したかどうか、②姉への強盗と銀行でカネを引き出した詐欺などで岡村被告と共謀したかの2点を挙げました。 そして岡村被告の出会いから事件直前の経緯について、次のように説明しました。 2002年か2003年ごろ、辻被告は当時、働いていた会社で岡村被告と知り合いました。2004年ごろから、辻被告は岡村被告に頼まれてカネを送金し、援助するようになったといいます。 2023年5月ごろ、無職だった辻被告と、カネに困っていた岡村被告は、辻被告名義の保険証を入手し、それを使って消費者金融からカネを借りようと考えました。辻被告は実際には住んでいないのに、岡村被告の隣の住んでいるかのような虚偽の住民登録をして保険証を入手し、岡村被告とともに消費者金融でカネを借りようとしましたが、借りることができませんでした。 2023年5月25日、辻被告は遅くともこのころまでに、姉のつぐみさんに借金を頼み、拒まれた場合は催涙スプレーやスタンガンで金品を奪おうと考え、そのことを岡村被告に伝えました。この日、岡村被告は辻被告とともに防犯グッズの店に行き、催涙スプレーなどを見たといいます。 2023年6月1日までに、辻被告は結束バンドを購入し、岡村被告に対し、姉の家に行くにあたって動きやすい服などの購入を依頼し、岡村被告はこれを購入しました。また辻被告は岡村被告に、6月2日に姉の家に行くことや、防犯グッズの店に連れて行ってほしいことを伝え、岡村被告はこれを了承しました。
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