富士スバルラインで自動運転EVバス、山梨県富士吉田市などが実証実験を本格開始
山梨県富士吉田市や富士急行などは10日、富士山の麓と5合目を結ぶ有料道路「富士スバルライン」での自動運転による電気自動車(EV)型バスの実証実験を本格的に始めた。マイカー、観光バスによる排ガスやオーバーツーリズム(観光公害)などの環境負荷を低減させることが狙いだ。 この日は関係者が試乗。富士山2合目の樹海台駐車場と3合目の大沢駐車場を往復した。走行中、運転席にオペレーターが乗って監視する「レベル2」で、16人乗りのEVバスが時速35キロ程度の速度で走行する。 車体に取り付けられたカメラやセンサーで周囲の車との距離などを把握し、道路情報を記録した三次元(3D)マップと照らし合わせ、自動運転する。オペレーターがハンドルから手を離したままの状態で、急カーブにさしかかると、バスが自動で速度を落とし、スムーズに曲がっていく。 乗車した富士吉田市の堀内茂市長は「通常の観光バスと同じように快適。あらゆる機器で状況を確認していることで安心感があり、力強さも感じた」と話す。 一方で、山梨県は環境対策や来場者制御のため、スバルラインに線路を敷設して次世代型路面電車(LRT)を走らせる「富士山登山鉄道構想」を打ち出している。富士吉田市などは富士山の尊厳を傷つけ、環境破壊につながるとしてこれに反対し、LRTの代わりに自動運転EVバスを提案している。この点について堀内氏は「実際乗ってみて(登山)鉄道は全く必要ないと強く感じた。無駄金を使う必要はない」と、県に同構想の撤回を改めて求めた。