税金逃れ? 大企業が続々…資本金1億円以下で国が対策【WBS】
税制度では、資本金が1億円以下の企業は「中小企業」と位置づけられています。こうした中、大企業が資本金を1億円以下に減らす「減資」を行って、中小企業化するケースが増えているのです。この結果、資本金が1億円を超える企業の数は、ピーク時より3分の2に減少しています。実は、減資をすることで「節税」になるケースもあり、節税目的の企業も一定数いるとみられています。国もこうした動きを問題視していて、制度変更に乗り出そうとしています。 13日に開かれた全国知事会議。「課税逃れ」という言葉を使って、知事たちが槍玉に挙げたのが、「外形標準課税」という税制度です。 外形標準課税とは、会社の資本金が1億円を超える企業が都道府県に納める税金のこと。資本金などの額に応じて課税され、事業が赤字でも税金を支払う必要があります。一方で、資本金が1億円以下の企業は税制上、中小企業として扱われ、課税対象にはなりません。こうした中、この外形標準課税を巡ってある動きが加速しています。 旅行代理店大手「エイチ・アイ・エス」は去年、会社の資本金をおよそ247億円から1億円に減らしました。コロナ禍で旅行需要が減った影響を受けたエイチ・アイ・エス。減資の理由の一つに挙げたのは、税負担の軽減です。会計上で形式的に資本金を1億円以下に抑え、課税対象になることを避けたのです。 飲食店情報サイト「ぐるなび」も一昨年、資本金をおよそ23億円から1億円に減らしました。理由を問い合わせると「当時の新型コロナウイルス感染拡大が経営成績、財政状態に及ぼす影響を踏まえ、健全な財務内容を維持するために行った」と回答しました。 コロナ禍では、業績不振から資本金を減らさざるを得ない企業が目立ちましたが、コロナの影響が薄れても、減資する企業は増加が続いています。調査会社によると、昨年度に資本金を外形標準課税の対象外となる1億円以下に減資した企業は、1235社に上り、前の年からおよそ3割増加しました。