ウクライナ、ロシアのドローンが「塹壕へ禁止化学物質を投下」と非難
ウクライナ軍は、同国東部への侵攻を進めるロシアが、塹壕にいる敵兵の戦力を喪失させるため、化学兵器禁止条約で禁止された催涙弾の使用を強化していると主張している。戦意や身体能力が一時的に失われるため、陣地を占領するための時間が稼げるという。英シンクタンクによると、化学兵器の使用はロシアのテレビで宣伝されており、現地の司令官の間でも禁止兵器だと認識されている可能性が高いとみられる。 化学兵器訓練を行うウクライナ軍。ロシア軍が、塹壕の兵士を無力化するため、違法な催涙弾の使用を強化しているという。 ある歩兵は、1月に東部戦線の塹壕でドローンが催涙弾を落としたと話す。 「すぐにガスマスクを着用したので、大きな被害はなかった。 致命傷にはならないが混乱したり、失神したりする。一度吸い込んだら、任務遂行はとても難しくなる」 侵攻開始から2年以上が経過。ロシア軍はウクライナ東部で徐々にだが着実に前進している。 ウクライナのパホモフ大佐によれば、ロシアによる催涙剤の使用をこの半年で約900回記録。その数は毎月増加しているという。 大佐は軍の原子力・生物・化学兵器防衛部隊の責任者代理。催涙ガスで、500人の兵士に治療が必要となり、少なくとも1人は窒息死したという。 「戦意喪失に加え、身体能力を失う。目が見えず、息ができなくなり何もかもがいらつく。 そう、症状は一時的なものだ。だが、陣地を占領するための時間は稼げる」 化学兵器禁止条約は、戦場で催涙ガスなどの使用を禁止しており、両国とも条約に加盟している。 英国王立防衛安全保障研究所のレニー・フィリップス氏 「化学兵器は今も使用されている。これは禁止条約を破るため、ロシア幹部が意図的に合意したのだ」 フィリップス氏は、英シンクタンクの化学兵器分野の上級研究員。彼によれば、化学兵器の使用はロシアのテレビで宣伝されている。そして、現地の兵士に説得力のある否定はほぼ無理だという。 「現地指揮官は、条約違反だと知らず使用しているのだと思った。 その考えは、いまではなくなった」 ロシア国防省はコメントを控えた。 ロシア政府は以前、ウクライナ軍が化学兵器を使用したと非難したが、ウクライナは否定した。 ロイターは、どちらの側による禁止化学物質の使用も独自に確認できていない。