円は対ドル155円台半ば、米共和党支配の「トリプルレッド」でドル高
(ブルームバーグ): 14日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=155円台半ばと約4カ月ぶり安値圏で推移。米国の議会選挙で共和党が上下両院を支配する「トリプルレッド」が確定する見通しとなり、トランプ次期大統領のインフレ的な政策への警戒感からドル高が進んでいる。
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、13日の米長期金利の上昇とドル高について「トリプルレッドの確定がカタリスト」と指摘。円安というよりもドル全面高の流れが続き、「トランプ・トレードの終わりが見えない」と言う。
13日の米国市場ではドルが主要10通貨に対し全面高となり、ブルームバーグ・ドル指数は2022年11月以来の高値。10月の米消費者物価指数(CPI)は総合指数とコア指数が予想通りの伸びとなった。10年債利回りが低下後に上昇する一方、2年債利回りは低下し、金利スワップ市場で12月の利下げ織り込みが7割程度に上昇した。
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストはリポートで、CPIを受け米国の12月利下げの織り込みが回復したものの、「トランプ氏勝利によるインフレ圧力への警戒もあり、米債カーブがツイストスティープ化しており、ドル安も短命に終わった」と指摘した。
円相場は心理的節目の155円を下回ったことに加え、トランプトレードの流れから売りが加速しやすく、日本の通貨当局による円安けん制も警戒される。大和証券の石月氏は「足元の動きは円売りではなく、ドル買いが主導しているため、けん制しても市場に響くか懐疑的」とみている。
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Saburo Funabiki