円は対ドルで150円台半ばに上昇、8月以来の安値更新でけん制警戒
(ブルームバーグ): 22日の東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=150円台半ばに上昇。米国市場で長期金利の大幅上昇を受けて8月初旬以来の安値を付けたため、日本の通貨当局による円安けん制が警戒されている。チャート上のポイントや27日の衆院選の不透明感もあり、利益確定の動きが出ている。
ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリストは、円は下落が加速するかどうかの重要な水準にきており、「いったん利益確定の動きが強まっているようだ」と指摘。足元の円安進行で当局のけん制も警戒され、「日本銀行の植田和男総裁が追加利上げに前向きな発言をしないか注視している」と述べた。
21日の米10年国債利回りは11ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い4.20%程度と7月下旬以来の高水準。ブルームバーグ・ドル指数は8月1日以来の高値を付けた。円は1ドル=150円台に乗せ、200日移動平均線がある151円30銭台が視野に入った。
ソニーFGの森本氏は、米金利上昇・ドル高の背景について、「米大統領選でトランプ氏勝利の可能性が高まっていることに加えて、複数の米地区連銀総裁から利下げに慎重な発言が出てきており、米経済指標が強い中で利下げ期待も後退している」と説明した。
三井住友信託銀行米州部マーケットビジネスユニットの山本威調査役(ニューヨーク在勤)は、「11月の米利下げ見送りとの声が出るなど、市場では連邦公開市場委員会(FOMC)のドットチャートよりも利下げの織り込みが低下している」と指摘する。もっとも、「勢いよく円安が進んだことで当局のけん制が警戒される上、衆院選の結果によっては株安・円高に振れるリスクもある」と述べ、一方向の円安進行には慎重な見方を示した。
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Saburo Funabiki