日本軍なら絶対に将軍になれない「傲慢な問題児」が、インパール作戦で英軍を勝利に導いた理由
ウィンゲートのように型破りな指揮官は、日本軍にはもちろんのこと、米英軍にも少ないにちがいない。しかし、そのような人材が活躍の場を与えられた背景について、大木氏はこのように分析する。 「こうして検討してきたように、オード・ウィンゲートは、その優れた才幹ゆえに、他国の軍隊であれば冷や飯食いで終わったであろう軍歴を、裏門を開いておく軍隊文化によって救われ、力を振るうことができたといえよう。したがって、ウィンゲートという歴史的個性の評価もさることながら、彼の活躍の場をつくったイギリスの軍隊文化こそ、より魅力的な分析対象であると筆者には思われる」 通常のコースを外れた人材を、いかにすくい上げて活用するか。現代日本にも通じる、重要な課題ではなかろうか。 ※本記事は、大木毅『決断の太平洋戦史 「指揮統帥文化」からみた軍人たち』(新潮選書)に基づいて作成したものです。
デイリー新潮編集部
新潮社