豚熱通報遅れで県が行政指導 那須塩原の養豚場 防疫措置は完了
那須塩原市の養豚場で5月に発生した豚熱を巡り、栃木県は25日、豚の殺処分や埋却、消毒など全ての防疫措置が完了したと発表した。一方、県への通報が遅れたとして養豚場に対し文書で行政指導していたことも明らかにした。4月末ごろには豚の死亡頭数が増えていたのに通報しなかったことを問題視し、改善策の提出を求めた。 指導は6月21日付。県が豚熱の通報の遅れで行政指導するのは初めて。 農林水産省が公表した疫学調査概要によると、養豚場では4月末ごろに肥育舎の豚の死亡頭数が通常より増加。3月に豚熱とは別の感染症が確認されたため、養豚場側は同様の病気を疑い複数の民間検査機関に検査を依頼した。豚熱の疑いがあるとの結果を受け、県へ通報したのは5月24日夜だった。 県は4月末に死亡頭数が増えた時点で速やかに通報すべきだったと判断した。県内の全養豚場に対しても、豚熱の発生防止に向けた飼養衛生管理基準の順守を呼びかける注意喚起を文書で行った。 防疫措置は豚熱が確認された5月26日夜に始まり、6月11日に飼育されていた1万5736頭の殺処分と埋却を終えた。その後は施設内の消毒などを行い、同月25日午後4時に全ての作業が完了した。 計31日間の作業には県や他県の応援職員、民間団体など関係者ら延べ4883人が従事。那須塩原市内の消毒ポイントでは延べ1078台の車両を消毒した。