韓国軍、拡声器による対北宣伝放送再開 「ゴミ風船」再開に対抗 北朝鮮のさらなる反発も
韓国軍は9日、北朝鮮が「ゴミ風船」を再開したことを受け、拡声器による北朝鮮向け放送を同日開始したと発表した。 公開された映像には拡声器を積んだトラックや、演習でそれを組み立てる兵士たちの姿が映っていた。軍によるとこのような訓練は2018年以来だという。訓練の場所と日時は明らかにされていない。 心理戦の一環として宣伝放送を再開するという決定は、北朝鮮が前日にゴミをぶら下げた風船約330個を韓国に向けて飛ばしたことを受けたもの。韓国軍によると、そのうち約80個が韓国領内に落下したという。 宣伝報道には、世界のニュースや民主・資本主義社会に関する情報、人気のKポップ音楽などが含まれている。その音は、約19キロ先の北朝鮮領内にまで届くと考えられている。 韓国大統領府報道官は次のように述べた。「我々が取る措置は北朝鮮の政権にとっては耐え難いものかもしれないが、北朝鮮の軍隊と国民に希望と光のメッセージを送ることになるだろう」 北朝鮮は、先月から南北の境界線を越えてゴミや汚物をぶら下げた風船を送り始めた。これは、韓国の脱北者団体などが北朝鮮の体制を批判するビラなどを風船で飛ばしたことへの報復措置だとしている。北朝鮮はこれまでも、反体制のビラや拡声器による放送に対して激しく反発しており、風船や拡声器に向けて発砲したこともあった。 韓国は2018年に南北首脳が署名した合意に基づき放送を停止したが、このところ北朝鮮が兵器開発を進めるなか緊張が高まっている。