うちの会社は「タイムカード」を押し忘れると減給になります。これって「違法」ですよね? ただでさえ低年収なのに、どうにかならないでしょうか…?
従業員が打刻することで、出勤・退勤した事実を記録する「タイムカード」。押し忘れてしまって減給などの処分を受け、「これって、違法じゃないの? 」と思った人も多いのではないでしょうか。 本記事ではタイムカードの押し忘れの処分が法に抵触するケースとしないケースを分類し、従業員が工夫できるタイムカードの押し忘れ対策などを解説します。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
タイムカードの押し忘れによる処分は内容次第で違法になる
タイムカードの押し忘れについては法律で明確に規定されてはいません。タイムカードを押し忘れると罰則がある会社もありますが、その場合は企業が独自で設定しているのです。ただし、その処分は労働基準法に違反しないような内容にしなければいけません。 処分の内容によっては労働基準法に違反する可能性があるからです。 ■タイムカード押し忘れの処分による減給は法律の範囲内なら違法ではない タイムカードの押し忘れに対する処分として一般的なものは、「一定額の減給」です。就業規則に打刻漏れをすると処分があると記載があって事前に周知徹底されている場合、懲戒処分として「減給」が行われることがあります。この場合は、労働基準法に違反しているとはいえません。 ただし、労働基準法91条には減給に関して「減給額が1日の給与の半分、または1ヶ月の給与の10分の1を超えてはならない」と定められています。 ■タイムカードの押し忘れに対する罰金や欠勤扱いは違法になる可能性が高い 前項では懲戒処分として減給の処分を定めるのは条件付きで可能と解説しましたが、「罰金」と表現すると労働基準法に違反する可能性があります。 労働基準法第16条では従業員の労働契約に違反する行為について、「企業があらかじめ違約金や損害賠償の金額を決めておくことはできない」としています。また、打刻忘れを理由に「欠勤扱い」にすることも同じく労働基準法に違反しているため、社内規定に盛り込むことはできません。 労働基準法第24条では「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と規定されています。実際に勤務していたにもかかわらず、タイムカードの押し忘れだけで欠勤扱いにするのは労働基準法第24条に違反しています。