高橋一生、『ブラック・ジャック』続編への希望は? 岸辺露伴との“着こなし”の差を語る
ブラック・ジャックの“袖”に詰まったこだわり
――衣装は、『岸辺露伴は動かない』でも衣装デザインを担当されている柘植伊佐夫さんが手掛けています。 高橋:柘植さんが来てくださって心強かったです。否が応でも露伴と差をつけようとしてくださいますし、それは柘植さんのワークとしても絶対に譲れないところだと思うんですね。柘植さんがイメージされている露伴は、どちらかというとモードを自分の感覚で着崩していく感じでした。でも今回のB・Jは、原作に沿った形でアメトラといいますか、クラシックなものに落とし込んだほうがいいんじゃないか、という話を最初にしました。 ――とくにこだわった部分はありますか? 高橋:手塚さんが漫画で描かれていた“袖”です。あの袖をどこまでデフォルメするか、柘植さんとずっと話し込んでいました。ご覧になるとわかると思いますが、B・Jのコートはストールのようになびくんです。でも実際の重さだと、よっぽどの強風が吹かなければなびかないので、「歩いただけであの感じを出すためには、どうすればいいんだろう」と。その結果、生まれたのが“ニセ袖”です。ちょうど肩の辺りから腕が通らない“ニセ袖”が出ていて、ストールとしても使えるようになっています。実際にはジャケットの腕がそのまま出てくる昔の外套スタイルなんですが、コートにも見えるし、肩に羽織っているようにも見える。柘植さんは衣装だけでなく人物造形も担当される方だけあって、着ていておかしくない、ただの飾りじゃない、という説得力のあるところまで落とし込んでくださるので、本当に助かりました。 ――ブラック・ジャックの助手であるピノコ役は、子役の永尾柚乃さんが演じています。 高橋:ピノコはとても仲良くしてくれて、お芝居しやすかったです。僕と同じで妖怪が好きだったので、妖怪トークで盛り上がりました。僕が“袖の下”で妖怪の本を差し上げたりして、だいぶ機嫌よく過ごしてくださったんじゃないかなと思っています(笑)。 ――(笑)。まだ手応えはないとのことですが、今後もブラック・ジャックを演じたいですか? 高橋:『岸辺露伴は動かない』のときもそうでしたが、僕は次があるかどうかはあまり考えないようにしているんです。関係者の皆さんから「やりたい」と言われたら「へえ」と応えますし、なんとなくそれには触れないなと思ったら、「ないんだな」と(笑)。そこに一喜一憂していたくないんです。そのときそのとき、お芝居はしっかりやっているつもりなので、手応えがなくても“やり切った”ということだけは確かに存在しています。 ――常に今そのときの作品に向き合っているのですね。 高橋:もちろん「あったらいいな」という思いは、どの作品においてもあるんです。俳優は消費の対象ですが、その中で「寅さん」のようにずっと続けられるものがあると、ちょっと面白くなったりするんです。それがB・Jにもあってほしいなと思う反面、どうなるかはわからない。そんな気持ちで今、わりとフラットに捉えているかもしれません。
nakamura omame