なぜ?岡田阪神が開幕連敗を喫したワケ 王者らしからぬ野球が遠ざける勝利の味
「巨人5-0阪神」(30日、東京ドーム) 昨季の王者がまさかの連敗。しかも12球団で唯一の2試合連続完封負け。球団史上初のリーグ連覇に挑む岡田阪神が、よもや、よもやの低空飛行発進だ。 【写真】やられた阪神 岡本和に続き2者連続弾の巨人・坂本、どや顔がすぎる 嫌な形で流れを手放した開幕戦と同じ匂いが漂った。大山と佐藤輝がともに今季初安打を放ち、無死一、三塁の先制機を迎えた四回。巨人ベンチが1点を覚悟し、内野陣がバックホーム態勢を敷かない中で、続くノイジーが見逃し三振に倒れた。 阪神OBの中田良弘氏は「1ボールから3球続いた直球に見逃し三振。あの状況、変化球の見逃しならば、まだ分からなくもないが、直球に手を出さずに見逃しで終わったのは、たとえグリフィンがいいコースに投げたとしても、ベンチとしては最もガッカリする結果だった。転がせば1点だっただけに」と指摘する。 三塁側と左翼席を中心に何とも言えない空気が漂った1死後。坂本が初球に試みたセーフティースクイズは、一塁ファウルライン上への小飛球となった。だが、三塁走者の大山は投球がバットに当たった瞬間に走り出し、小飛球となっても三塁には戻らなかった。 セーフティースクイズとは、どんな球にでも食らいついてバントしなければならないスクイズとは異なり、打者がストライクゾーン近辺のボールをバントして、三塁走者は転がったのを確認して本塁にスタートするのがセオリー。 小飛球を一塁・岡本和がダイビングキャッチ。大山が戻れず併殺となって無得点。岡田監督は「セーフティースクイズやから戻る。(本塁へ)行ったらアカンやんか。スクイズちゃうんやから。スタートを切るんちゃうんやから」と大山の走塁を問題視した。 開幕戦でもあった。近本と中野の連打で整えた三回1死一、二塁の先制機。森下の右中間への打球に対して一塁走者の中野が勢いよく駆け出したが、右翼・梶谷がダイビングキャッチ。懸命に一塁に戻ろうとした中野より先に、送球が岡本和のミットに収まって併殺、無得点となった。 この中野の走塁に対しては「梶谷をほめるべきやろ」「中野を責めるのは違う気がする」「あれは2点を取りに行った仕方のないプレー」「結果として併殺だから走塁ミスだよね」など賛否があった。確かに、梶谷の守備は称賛されてしかるべき好守ではあるが、併殺となって無得点に終わった点において、中野の走塁ミスであったと思う。 連敗を喫した後、大山は「明日いい準備をして、明日に向けて頑張ります」と言い残した。 平田ヘッドコーチは大山の走塁に関して「足の状態もあんまり万全ではないというところも含めて。でも、そこは難しいとこよ」とし、藤本三塁ベースコーチは「なかなか判断が難しいと思うが、ショートバウンドでセーフになっていたら、それはOKとなる。難しいとこだが、冷静に考えてゲッツーになるのが一番ダメなので」と話した。 2試合とも先制点がほしい場面で取れず、流れを手放すプレーがあった後、相手に先制点を奪われ、追いつくことができていない。 中田氏は「点を取るべきところで取るという昨年のような戦いができていない。その結果の2試合連続無得点で、この試合は四回の拙攻が響いた形だろう。流れの悪さを感じる。やるべきことをしっかりやるという原点に戻りたい」と語った。 王者らしからぬ野球が遠ざける2024年の初勝利。「そうやなあ、3連敗はアカンよな。まあ点取らなアカンわな、おーん、ホンマ。全然お前、入らへんもんな。入りそうにないもんな」。岡田監督は低調な打線を嘆きつつも、3連敗阻止に向けて知恵を絞る。ひとつ勝てば、空気と流れは変わる。(デイリースポーツ・鈴木健一)