ソフトバンク、OpenAIに5億ドル投資の目論見…孫正義氏の壮大なAI戦略の一部にすぎない（海外）
ソフトバンクがOpenAIの新たな資金調達ラウンドに参加した。 日本のコングロマリットであるソフトバンクは5億ドルをChatGPTを開発するOpenAIに投資した。 【全画像をみる】ソフトバンク、OpenAIに5億ドル投資の目論見…孫正義氏の壮大なAI戦略の一部にすぎない ソフトバンクにとって、この投資は大規模なAI戦略の一部に過ぎないという。 OpenAI は記録的な資金調達ラウンドを完了したばかりだ。この投資はソフトバンクの孫正義が考えている壮大なAI計画の新たな一部でもある。 日本のコングロマリットであるソフトバンクの創業者で取締役会長でもある孫は、ChatGPTの開発元であるサム・アルトマン（Sam Altman）のOpenAIを自身の広大なポートフォリオに加え、同社に5億ドル（約732億円）を投資した。 今回の資金調達は66億ドル（約9674億円）規模のラウンドの一部であり、OpenAIにとって新たな時代の幕開けを示すものだ。このラウンドは同社の著名な人材が相次いで離職し、シリコンバレーで最も注目されているAIスタートアップ企業としての地位が疑問視されるような波乱の数カ月間を経て行われた。 しかし、東京からやって来た新たな支援者にとっては、この資金提供は大きな意味を持つものとなった。 1981年にソフトバンクを創業して以来、何十億ドルもの富を築き、そして失ってきたテクノロジーの伝道師である孫は、2022年後半にChatGPTが登場するずっと前から、AIの進展を自らの人生の使命として語っていた。孫は、2024年6月21日に開催された同社の定時株主総会でこの思いをさらに強調し、株主に、「孫正義はこれを実現させるために生まれてきた」と語っている。 この5億ドルの投資によって、ソフトバンクはシリコンバレーで最も話題の企業の一つに出資することになるが、これがテクノロジー界で最も広い視野を持つビジョナリーのAI構想にどのように合致するのか、見届ける価値はある。
孫正義のAIビジョンは野心的
孫の壮大なAIの野望を理解するためには、まず、ソフトバンクが現在、AIへの投資機会をどのように計画しているのか、 全体を把握してみるのがよさそうだ。 Business Insiderが確認した2024年の投資家に向けたプレゼンテーションで、ソフトバンクはAIへの関心を3つのカテゴリーに分けて説明している。まず、ChatGPTのような、毎日使われる消費者向け「スーパーアプリ」を含むアプリケーション。次に、データの収集や分析を行うツールに関わるインフラ。最後に、チップ、データセンター、ロボット工学を含むハードウェアのカテゴリーだ。 OpenAIにおいて、ソフトバンクはついに、基盤モデルAI企業、つまりOpenAIのChatGPTやマイクロソフト（Microsoft）のCopilotのような消費者向けアプリを支える大規模言語モデル（LLM）を構築する企業に大規模な投資を実現することになりそうだ。これはカテゴリー1とカテゴリー2の中間に位置していると考えることができる。 ソフトバンクは、2016年に中東の政府系ファンドの支援を受けて立ち上げた1000億ドル規模の投資ファンド「ビジョンファンド（Vision Fund ）1号」と、2019年に立ち上げた「ビジョンファンド2号」を通じて、最初の2つのカテゴリーへの投資を選考する取り組みを行ってきた。 OpenAIを支援する予定のファンド2号は2024年6月には30億ドル（約4350億円）でAI検索エンジンのスタートアップ、パープレキシティ（Perplexity）に投資した。孫のこれまでの発言から判断すると、ファンドが支援する何百もの企業は、最終的には互いに補完し合う方法を見つけるだろう。しかし、それは完全に計画通りには進んでいない。 各ファンドの運用成績には波がある。2024年6月現在、ビジョンファンド1号の利益は217億ドル（約3兆1465億円）、ビジョンファンド2号は229億ドル（約3兆3205億円）の損失だった。投資のほとんどは、ChatGPTの登場後に始まった生成AIブーム前に行われており、数十億ドルの投資が、現在のテクノロジーに正確に適合していない企業に流れてしまったことを意味している。 したがって、孫の焦点が彼のAI投資の別の部分に移っていることは明らかだ。 2023年9月、孫はArm（アーム）の再上場を成功させ、ハードウェアの分野で大きな一歩を踏み出した。2016年にソフトバンクが320億ドル（約4兆6400億円）で買収したこの半導体設計会社のArmは、AI分野の主要プレーヤーとしての地位を確立し、時価総額が1420億ドル（約20兆円）を超えるに至っている。 2024年2月に孫が中東で投資家を積極的に口説き、最大1000億ドル（約14兆5000億円）のベンチャー資金を調達しようとしていたという報道が出たが、これは孫が半導体関連の事業をさらに拡大しようとする背景を説明している。 ブルームバーグ（Bloomberg）の報道によると、ソフトバンクの創業者はこの極秘プロジェクトに日本神話の創造神である「イザナギ（Iaznagi）」というコードネームを付けたという。彼がこの名前を選んだ理由の一つは、人間の知能に匹敵、あるいは凌駕するかもしれないAIの一種、汎用人工知能（Artificial General Intelligence：AGI）の頭文字が含まれているからだという。
Hasan Chowdhury
