横浜流星、自身の“正体”は「教えません」俳優としての矜持「役者という仕事はミステリアスでいることがいい」
俳優の横浜流星が、11月5日に都内で開催された映画「正体」完成披露舞台あいさつに登場。共演の吉岡里帆、森本慎太郎(SixTONES)、山田杏奈、山田孝之、脚本・演出を務める藤井道人監督と、役作りについてや、自身の“正体”について語った。 【写真】印象ガラリ…!横浜流星“ベンゾー”姿の「正体」場面カット ■藤井監督×横浜主演のタッグ 同作は、染井為人氏の同名小説を「余命10年」(2022年)や「ヴィレッジ」(2023年)などヒット作を多数手掛ける藤井監督が映画化したサスペンスエンターテインメント。横浜が日本中を震撼させた殺人事件の容疑者として逮捕され死刑判決を受けたものの脱走し、潜伏を続ける主人公・鏑木を演じるほか、吉岡は指名手配犯だと気付くが鏑木の無実を信じる沙耶香を、森本は日雇い労働者として共に工事現場で働く中で親しくなるが彼を犯人だと疑う和也を、山田杏奈は介護施設で働く鏑木と出会い恋心を抱く舞を、そして山田孝之が鏑木を追う刑事・又貫をそれぞれ演じる。 “5つの顔”を持つ逃亡犯という役どころだが、横浜は「それぞれ違う人物を演じているんですけど、別人格ではないので、しっかりと彼のその心の部分、鏑木としていることをとにかく意識していましたし、20代の彼が必死に考えて、みんなの前に現れた那須、ベンゾー、桜井とかは、監督とメイク部と衣装部、皆さんと相談してリアルを追求しました。やり過ぎになるとそれこそコスプレになってしまうし、しっかりと街の中にいてもちゃんと紛れられるように、というのは意識していました」と役へのアプローチで工夫したことを明かした。 今作は2023年の夏と年が明けて2024年の冬の2回に分けて撮影が行われた。撮影時の印象的なエピソードを聞かれ、横浜は「夏と冬に分けて撮れたことはすごくぜいたくだし、幸せだと思います。夏は那須とベンゾーとして生きたんですけど、夏の撮影が終わった後に監督から粗くつないだものを見せていただいて。那須とベンゾーとして生きた日々を思い返して、冬の撮影に臨めたので、より強い気持ちを持って鏑木を演じることができましたし、整理もできたし、シーンも追加されたりして、時間経過を描く作品はこう撮るべきだなと思いましたし、撮っていただけたチームには感謝しています」としながらも、「ただ、鏑木として気持ちを維持するのは本当につらかったです」としみじみと吐露した。 また、吉岡も気持ちの維持が大変だったことに共感を示しつつ、「その期間を監督が空けてくださったおかげで、すごく意味のあるシーンが撮れて感謝しています」と、空いたおかげでより良いシーンが撮れたと自信をのぞかせた。 さらに吉岡は印象的なシーンについて「夏編のクランクアップの日に忘れられないことがありまして…」と前置きし、「とあるシーンに(役柄の)又貫さんじゃなくて山田孝之さんが…。夏編の最終日に撮ったシーンで、本当に気付かないくらい変装して来てくださっていて、みんなも出ているシーンだったんですけどビックリしましたよね」と振り返ると、山田孝之は「外での撮影でエキストラの方がたくさん必要というときに、『じゃあ僕も行きます!』って」と告白。あらためて吉岡は「それってすごくうれしいんですよね。山田さんが現場に来てくださった!って。それが印象的でした」と感謝を込めた。 ■横浜の“正体”は… そんな中、タイトルにかけて共演者たちから見た横浜の“正体”、横浜は自身のあまり明かしていない“正体”をフリップで発表することに。横浜の“正体”について「生身」(吉岡)、「おしゃべり」(森本)、「仕事人」(山田杏奈)、「水」(山田孝之)、「武士」(藤井監督)とそれぞれ理由とともに発表していき、横浜は自身の正体を「なし」と発表。 その理由を「皆さんが自分の“正体”を言ってくださるのは全然構わないですし、ありがたいんですけど、自分から自分のことをあまり皆さんに伝えたくない」とした上で、「役者という仕事はミステリアスでいることがいいなと思うし、自分の人柄をすごく知られて、作品に影響するのも嫌だし、とにかく自分は排除していきたいので、『なし』。教えません」とキッパリ。普段からストイックに役者道を邁進する横浜らしい、芝居へのあくなき情熱と矜持を感じさせる持論を展開した。 映画「正体」は11月29日(金)全国公開。 ◆取材・文・撮影=森井夏月(STABLENT LLC)