消費増税凍結、憲法改正など三本柱 希望の党が公約「ユリノミクス」も提起
希望の党は6日、消費増税凍結や原発ゼロ、憲法改正を三本柱に据えた衆院選の公約を発表した。同日午前に都内で会見した小池百合子代表(東京都知事)は、安全保障や社会保障を念頭に「他の党がこれまで言えなかったこと、打ち出したくても打ち出せなかったことを盛り込んだ。われわれは保守政党だが大きく改革していかなければ守るべきものも守れなくなる」と語った。
財源に企業の内部留保課税も検討
理念としては「国民が納める税の恩恵を全ての国民に届ける仕組みを強化すること」を打ち出し、「既得権益、しがらみ、不透明な利権を排除し、国民ファーストな政治を実現する」とした。 三本柱として掲げたのは、(1)8%から10%への消費税増税「凍結」、(2)2030年までの原発ゼロ、(3)9条を含めた憲法改正論議。 2019年秋に予定されている消費増税に関して、小池代表は「好景気の実感がないままに、社会保障にも不安がある中で、予定通りに引き上げることはいかがなものか」と投げかけ、「いったん消費税の問題を立ち止まって社会保障全体のあり方を見直す」とした。 原発ゼロでは、徹底した省エネ、再生エネルギーの活用を打ち出した。 憲法改正論議については「これまで護憲か改憲かの議論だけで議論そのものも深まってこなかった。国民の知る権利や第8章の地方分権を明記すべき」などと述べた。 安倍政権が進める経済政策「アベノミクス」に絡めて、「景気を本物にするために、決めの細かい経済政策、社会改革を行っていかなければいけない」として、「これまでのアベノミクスに代わってと言うか、加えてと言ったほうが正しいかもしれないが、マクロ経済に人々の気持ちを入れ込んだ『ユリミクス』とでも称する政策を入れ込んでいきたい」とも提起した。金融緩和と財政出動に依存し過ぎず、民間の活力を引き出すとしている。 また改革項目として「12のゼロ」を挙げ、「原発ゼロ」「隠ぺいゼロ(徹底した情報公開)」「待機児童ゼロ」「受動喫煙ゼロ」「ブラック企業ゼロ」「花粉症ゼロ」などのほか、「満員電車ゼロ」「電柱ゼロ」など小池代表が都知事選で訴えた内容も盛り込んだ。 消費増税を凍結した場合の代替財源について、会見に同席した後藤祐一氏は「企業の内部留保への課税」などを念頭に置いているとした。 社会保障のあり方に関しては、ベーシックインカムの検討についても言及。この制度の導入により低所得層の可処分所得を増やすとした。後藤氏は「ベーシックインカムは一律に一定のお金を支払う制度で、基礎年金、生活保護、雇用保険などを置き換えていくことを検討している」と述べた。 記者からは、合流した民進党の主要政策で再分配を重視した「オール・フォー・オール」は公約に反映されていないのではないかとの質問が出たが、小池代表は理念の部分で掲げた「国民が納める税の恩恵を全ての国民に届ける仕組みを強化すること」がそれに当たるとした。