残留への道 勝点でみるJ1昇格チームに必要な戦い方とは
J1昇格を果たしたチームに、あるジンクスが存在することをご存じでしょうか。それは「開幕5戦で勝点5を奪えていないチームは全て降格している」というもの(J1が18チーム制となった05年以降)。表1には、これまでの昇格チームが翌年J1で収めた成績をまとめましたが、現在もジンクス継続中のようです。今回は、そんなジンクスも存在するJ1昇格チームの、残留・降格について勝点を比較することで、データ的に何が違ったのかを検証していきたいと思います。
まずは過去のデータを振り返ってみたいと思います。表1が05年以降にJ1昇格したチーム一覧となっており、こちらを参考に表2をご覧ください。過去11年間で昇格したチーム全てが、翌年のJ2降格を免れた年は、05年と09年の2年間しかありません。実に9シーズンで昇格したチームのいずれかが降格するという結果になっています。確率にすると82%にも上り、J1とJ2のレベルの違いをデータが物語っています。
また当然ながら、J1昇格を果たした際のJ2での順位が低ければ低いほど、降格する確率も高まっており、J2を3位(昇格PO含む)昇格したチームは6年連続で降格という現実を突きつけられています。一方で1位昇格を果たしたチームは09年以降、降格しておらず、それなりのチーム力を備えたクラブがJ2優勝を達成したということもいえそうです。 そんなJ1残留、J2降格という対極の結果に終わってしまったチーム間勝点には、どのような違いがあったのでしょうか。 表3をご覧ください。こちらは、J1昇格後に残留 or 降格したチームの平均勝点を節ごとにまとめたものです。
05~15年の間でJ1残留ボーダーとなった平均勝点は「38」(表3の黒線)になっています。その結果から、昇格したチームの平均値である「全体」の勝点推移では、残留できない可能性が高いということが分かります。残留したチームは、リーグ開幕から順調に勝点を積み上げていき、終盤になっても勝点を上積みできている一方で、降格となってしまったチームは、昇格したチーム(1.4)の約半分の傾き(0.7)のグラフとなっており、まったく勝点を稼げていません。 つまり、「グラフの傾き」=「1試合で稼いでいる勝点」なので、この傾斜が大きければ大きいほど勝利を手にする可能性が高いグラフとなります。降格クラブの傾きが「引き分け勝点=1」以下の「0.7」であることから、引き分けすら厳しい現実がグラフからも読み取れます。
続いて、残留・降格したチームが節ごとにどれだけの勝点を稼げているかをグラフにしたものが表4です。過去に残留ボーダーだった勝点のチームは平均1.12/試合の勝点を稼いでいます。それをもとにグラフを見ると、残留できたチームとそうでないチームの間にははっきりとした差が出ています。 シーズン通して相手がどこであれ、必要な勝点以上をコンスタントに稼げている残留組とそうでない降格組。開幕ダッシュで引き分けではなく、勝利を出来る限り多く手にすることが、シーズンを通した戦いを見据えた上でも残留への近道と言えそうです。 (株)日刊編集センター