ドルよりもゴールドを買い増しする…新興国だけでなく先進国の中央銀行も(海外)
先進国の中央銀行はゴールド(金)の買い増しを計画しているとワールド・ゴールド・カウンシルによる調査が示している。 ゴールドを買い溜め、インフレや経済ショックといったリスクを回避するのだという。 調査によると、中央銀行のほとんどが世界の準備通貨における米ドルのシェアは今後5年で減ると予想している。 中国やその同盟国といった新興国がゴールド(金)を買い溜めし、準備金を米ドルから分散している。 だが、ゴールドを買っているのは彼らだけではない。 先進国の中央銀行でさえもゴールドの買い増しを計画していると2024年6月18日に発表されたワールド・ゴールド・カウンシル(WGC:World Gold Council)の調査が示している。 ゴールドのスポット価格が1オンスあたり2330ドル(約37万2800円)付近という記録的な水準で推移しているにもかかわらず、この熱狂は起こっており、5月には一時2450ドル(約39万2000円)という高値を叩き出していた。 2月から4月に行われたWGCの調査では、70の中央銀行のうち、2019年以降最多となる29%が、今後12カ月間でゴールドを購入する計画であることが分かった。 先進国の中央銀行は約15%がゴールドを購入する計画で、こちらも2019年以降最多だった。一方、新興市場の中央銀行では約40%が購入すると述べた。 中央銀行がゴールドを買い増す主な理由としては、準備金のバランス調整や、インフレ率の上昇・米ドルへのエクスポージャー・市場不安へのリスクヘッジなどが挙げられた。ゴールドを買い増す計画であると述べた20行のうち8行が、アメリカの財政赤字の増加など、準備通貨の発行国の経済的リスクが高まっていることも理由に挙げている。 ゴールドへの強い関心とは裏腹に、先進国の中央銀行の56%は、世界の準備通貨における米ドルのシェアは今後5年で落ち込むだろうと予想している。 新興国の中央銀行も約3分の2が、同様の予想をしている。
縮小する米ドル準備高
WGCの調査は、世界の準備通貨としての米ドルの支配的な役割についての激しい議論の中で、中央銀行の感情を反映している。
Huileng Tan