【フラワーC回顧】操縦性と持続力が武器のミアネーロ 最近のオークスの傾向にピッタリ
最近のオークスの傾向
ミスエルテはFrankelの影響もあったものの、母ミスエーニョの血統は母の父Pulpitで極端な気性の持ち主が多い。父Pulpitといえば古くは地方も含めて重賞3勝のピットファイター、JRA5勝ステンカラージンなど個性派のダートホースが多い。主に気の小さい馬が多いもののツボにはまったら強い。それがPulpitの血だろう。ミアネーロは現状、そういった気性面のマイナスは見当たらない。であれば、Pulpitの良さである持続力だけが受け継がれている可能性がある。キングカメハメハ系の器用さと母系の持続力が後半800mすべて12.0という特殊ラップでの好走につながった。 今後はおそらくオークスを最大目標に進むだろう。最近のオークスは単純なスローからの瞬発力勝負ではなく、残り800mの持続力勝負になる年が多い。これはマイル戦から転戦せず、最初から中距離で育てる傾向も大きい。もちろん、第一冠の桜花賞は牝馬にとって最大目標のひとつだが、マイル特化で勝たせるより、たとえマイルに対応できずとも能力差で勝つのが理想。将来をみすえたとき、中距離に重きを置いた方がいいのはある意味で合理的な考えといえる。 アーモンドアイもリバティアイランドも桜花賞では流れに乗れず力でねじ伏せた。この時点で中距離での真価は垣間見えた。オークスは距離に不安を抱えつつ恐る恐る挑むレースではなくなった。むしろ距離延長で安心できるぐらいの馬が桜花賞を勝ったときに三冠がみえてくる。 話は逸れたが、ミアネーロはそんな近年のオークスにピッタリの持続力がある。桜花賞組相手でも東京芝2400mで残り800m勝負になれば、十分対抗できるのではないか。多頭数でも今回の器用さがあれば問題ないだろう。
長い目で見たいカンティアーモ
2着ホーエリートは前走と2走前に2000mを経験したことが結果として今回の流れにマッチした。中距離に適性がなければ上位に来られない流れだった。父ルーラーシップ、母の父ステイゴールドは10勝とそこまで成績を残せていないが、勝利はすべて1800m以上。今回は適性距離のギリギリだった。2000m以上で成績を上昇させる馬が多くホーエリートもこれから適した舞台が待っている。我慢強さを問われる流れに強そうで、ハイレベルな戦いでさらに良さが引き出されそうだ。その分、自己条件の1勝クラスだと案外といったケースもあるだろう。 3着カンティアーモは昨秋デイリー杯2歳S以来の出走で、まだまだ成長途上の印象がある。今回は馬体重14キロ増だったが、もっと奥がありそうだ。現状は重賞だと直線勝負しかなく、今回のような流れについていけるだけの体力はないが、長い目で見たい一頭だ。秋あたりを見据えよう。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬中心の文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳