エヌビディアに続く"強い株"を探す指標にRSを推すワケ
アメリカの証券業界で20年以上にわたって活躍したプロトレーダーが、米国株のチャートの見方を平易に解説する。(最新のドル円相場は こちら ) ■RS80以上の銘柄を優先する 今回は、銘柄を選択するうえで重要な「レラティブ・ストレングス Relative Strength」について書きます。レラティブ・ストレングスは一般的にRSと表記され、結論から先に言うと、80以上の数値を持つ銘柄を買い候補として選ぶべきです。 わかりやすいものを見てみましょう。 上は、マイクロソフト( MSFT )を抜いて、時価総額世界1となったエヌビディア( NVDA )の日足チャートです。 6月18日時点におけるエヌビディアのRSは97。この数値が示していることは、マーケット全体(S&P500指数)と比べた場合、97という数値を持つエヌビディアはトップ3%に属する優れた成績を有する銘柄であるということです。言い換えると、エヌビディアの上昇率は97%の銘柄を上回っています。(*Aは20日、Bは50日、Cは200日移動平均線) RSを投資家の間に広めたのは、IBDの3文字で知られるInvestor’s Business Dailyです。1が最低の数値になり、99が最も強いパフォーマンスを示します。 経験則の1つは、RSが80以上の銘柄を優先することです。それらの銘柄だけに焦点を合わせることで、全体の80%以上をアウトパフォームしている企業に資金を集中させることが可能となります。 ■注目すべきナスダック10銘柄 IBDが行った調査によると、ロケットのような強力な上昇が始まったときの平均RSは87というとても高い数値です。本当に強い株は、長期にわたって強い状態を維持する傾向がありますから、投資家に利益を上げるチャンスをより多く与えてくれます。 RSはIBDで見ることができますが、移動平均線を使うことで、RSの高い銘柄を選ぶこともできます。もう一度エヌビディア(NVDA)の日足チャートを見てください。これらのことがわかります。 ・ 3本の移動平均線は上から20日、50日、200日移動平均線の順番に並び、すべてが上昇している。・ 株価は上昇する3本の移動平均線より上にある。上の条件を満たしているナスダック100銘柄は10あります(6月18日時点)。右側の数字はRSです。 ・ エヌビディア:97 ・ マイクロン・テクノロジー( MU ):96 ・ ブロードコム:( AVGO ):95 ・ アプライド・マテリアルズ( AMAT ):93 ・ ラム・リサーチ( LRCX ):92 ・ ASMLホールディング( ASML ):90 ・ インテュイティブサージカル( ISRG ):86 ・ シノプシス( SNPS ):81 ・ TモバイルUS( TMUS ):81 ・ アップル( AAPL ):80■押し目買いを狙っていく エヌビディアはすでに見たので、2番目にRSが高いマイクロン・テクノロジーの日足チャートを見てみましょう。 1でわかるように、株価は上昇する3本の移動平均線の上にあります。あとは、どんなタイミングで買うかです。わかりやすいのは、20日移動平均線(A)まで株価が一時的に下げたところで買う押し目買いです。 出遅れている安値圏で動いている株を狙うという方法もありますが、アウトパフォーマンスが確かである高いRSを持つ株に焦点を合わせることをお勧めします。 鎌田 傳(かまだ・つたえ)/カリフォルニア州ロサンゼルス在住の専業投資家。高校卒業後に渡米。大学卒業後、1988年にカリフォルニアのベンチャーキャピタルに入社。ユニオンバンクの証券部や投資情報会社「TradingMarkets.com」のマーケットアナリストなどを経て現在に至る。著書に『 米国株チャート最強の教科書 』(SBクリエイティブ)。「T.Kamada」として情報発信するX(旧Twitter)( @Kamada3 )や ブログ のファンも多い。好きな映画は『フィールド・オブ・ドリームス』。 ※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
鎌田 傳