【解説】韓国で“塩騒動”…原発処理水で「汚染」不安? 韓国政府「怪談のような情報」 冷静な判断呼びかけも…
■韓国政府「怪談のような情報に惑わされることがないように」
韓国での塩の価格について、見ていきます。 準政府機関の韓国農水産食品流通公社によると、19日時点での粗塩5キロあたりの小売価格は1万3094ウォン(=約1450円)だということです。平年の7940ウォン(=約880円)と比べれば、6割以上高騰しています。 またそもそも、去年から塩は値上がりしていましたが、1年前の同時期の1万1189ウォン(=約1240円)と比べても、2割弱高騰しているということです。 塩の値上がりについて、韓国政府は「天日塩の品切れ及び値上げは、4~5月の天候不良などで生産量が減少した」と説明しています。これに加えて処理水の海洋放出の準備が進んでいることから消費者が不安に感じ、今のうちに塩を買っておこうという動きもあったとみられています。
ただ、韓国政府は「今月から生産量は回復していて、供給に問題はない」と強調しています。さらに処理水の放出に関する国民の根強い不安を払拭するため、15日から毎日、会見を開いているのです。会見では、「『原発汚染水が放流されたら、塩が汚染される』という全く科学的でない、怪談のような情報に惑わされることがないようにお願いします」と冷静な判断を呼びかけています。
■「キムチ作りの“行事”」には支障ない? 日本で“買い占め”は…
塩をめぐる騒動は、韓国の国民食ともいえるキムチにも波及しています。キムチ作りでは最初の段階で白菜に丁寧に塩を振るように、塩は欠かせないものです。 韓国では、キムチを作る「キムジャン」という行事があり、大量にキムチを作る家庭も多いそうです。ただ、一般的にこの行事は10~11月に行われるため、まだまだ先になります。 また、韓国の塩の8割を生産する一大産地・シンアン郡では、一時は天候不良で減っていた生産量も今月から平年の水準に回復しているとしています。さらに、地元のトップも「来月に新たな塩が本格出荷されれば、今年のキムチ作りに支障はないはず」と話しているそうです。 一方で、日本の塩の価格はどうなっているのでしょうか。 業務用の塩を主に製造している国内大手のメーカーによると、「エネルギー費や物流費が高騰している影響で去年は2回値上げをしたが、今年、大幅な値上げをすることは考えていない」ということです。 また、塩の買い占めも国内では起きていないということです。 ◇ 東京電力は今月12日から処理水放出のための設備の試運転を行っていて、近いうちに準備を完了させるとしています。さらに、国際原子力機関(=IAEA)による評価結果を踏まえ、政府は夏ごろまでに処理水の放出を開始する方針です。 (2023年6月20日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)