御幣餅が「100年フード」に 道の駅新野 江戸から続く阿南の伝統食【長野県】
長野県阿南町新野の道の駅信州新野千石平を経営する蔵(同町新野)が製造販売している「御幣餅」が、文化庁の「100年フード」に選ばれた。飯田下伊那地域で認定されるのは初めて。 文化庁は多様な食文化の継承や振興に向け、地域の風土や歴史の中で世代を超えて受け継がれている地域特有の食文化を「100年フード」として認定している。全国で250件が登録されており、県内は6件。御幣餅は蔵が2023年度分に申請し、「伝統~江戸時代から続く郷土の料理~」の区分で3月に登録された。 御幣餅は平たく幣束の形を模しているのが特徴。阿南町には新野の雪まつりなど多様な伝統芸能があり、御幣餅は「神様へささげるごちそう」として始まり、江戸時代にはささげられていたという。 蔵の御幣餅はクルミを主原料とした秘伝のタレと阿南産の米を使用。道の駅新野などで販売しており、「大御幣餅」は長さが22センチと大型。昔ながらの製法による手作りで、両手の指ではさむように押さえることで、表面に波を付けて幣束に似せている。 道の駅信州新野千石平は、文化庁の「食文化ミュージアム」にも同時に選定された。食文化への学びや体験の提供に取り組む博物館や施設を同庁ウェブ上につくった仮想ミュージアムで一体的に発信する取り組みで、博物館、道の駅、食体験の3区分があり、同施設は県内の道の駅区分で初登録された。 11日に蔵の小池宣貴社長(49)が阿南町役場を訪れ、100年フードと食文化ミュージアム認定を勝野一成町長に報告した。両方の同時認定は少なく、小池社長は「登録を機に御幣餅をより多くの人に発信していきたい。町に来て地元のおいしい食べ物を食べてもらえるよう、新しい価値を生み出し伝えていきたい」と語った。 勝野町長は「小さい頃からいろりで焼いてよく食べた。各家庭に自家製のタレがあり、神様には必ず供えていた」と語り、「地域になじみのあるものが価値があると認定され、地域外にもっと知られるきっかけになれば」と期待した。