不安、いら立ち…福島県内混乱 乗客数時間足止め 東北・上越・北陸新幹線、終日運休 駅の窓口に長い列
JR東北新幹線の東京―仙台間が停電で午前中から終日運休となった23日、福島県内ではダイヤが大きく乱れ、混乱が広がった。県内で停車した新幹線に乗っていた大勢の県民は数時間にわたって足止めされ、在来線への乗り換えや予定の変更などを余儀なくされた。主要駅では払い戻しを求めるビジネス客や運転再開を待つ観光客らが窓口に詰めかけた。県民からは「どうしてこんな事態になったのか」と憤りや戸惑いの声が上がった。 「こんなトラブルに見舞われたのは初めてだ」。停車した東北新幹線で約3時間を過ごした福島市の50代の会社員男性は疲れ切った様子で語った。出張で名古屋市へ向かうため、午前中にJR福島駅から新幹線に乗車したが、郡山駅到着後にホームで停車したままとなった。車内アナウンスで架線トラブルの発生を告げられたが、運転再開の見通しなどの説明はなく、不安やいら立ちを募らせる乗客とともに車内で過ごした。午後になって出張を諦め、満員の東北線に乗って福島市に戻ったという。
「再開はいつになるのか」「早く払い戻しに対応してほしい」。福島駅の新幹線改札口付近にある窓口では、係員に状況を聞く人らで長い列ができた。埼玉県三郷市から福島市に旅行に訪れていた会社員金内夢路(ゆめじ)さん(26)は予定していた午前中の新幹線に乗れず、「運転再開まで待ちたいが、レンタカーで帰る方法も考えている」と気をもんでいた。郡山駅でも県内に宿泊を余儀なくされたビジネス客や、在来線に切り替えて首都圏に向かう学生らが足早に駅を後にしていた。 首都圏から訪れる人の足も直撃した。二本松市で開かれたJAふくしま未来安達地区きゅうり販売額12億円達成祝賀会に東京などの青果会社の関係者ら約10人が来られなくなった。郡山市でも夜に開催された水泳指導者向けの講演会で、講師を務めた五輪競泳メダリストの立石諒さん=郡山市ゆかり=が急きょ、自家用車に切り替えて県内に向かった。 常磐線で新幹線からの乗り換え客を待った影響で東京からの特急列車が遅れるなど、中通り以外にも影響が広がった。いわき駅から出張で仙台市に向かう予定だったいわき市の会社員小林誠さん(49)は「常磐線は大丈夫だと思ったのに」と驚いた様子で話し、「先方に予定の変更をお願いしなくてはいけない」と困惑していた。