手の甲にキス、暴言も…医療従事者を悩ます患者の「ペイハラ」実態【#みんなのギモン】
「迷惑行為は認めません」 患者やその家族らによる医療従事者への暴言、暴力などを表す「ペイシェント(患者)ハラスメント」の禁止を呼びかけるポスターです。 罵声に平手打ち…医療従事者を悩ます「ペイハラ」の実態とは-。(報道局 調査報道班 菊地庸太)
■シャワー入浴「一緒に入りたい」
今月、取材に応じてくれたのは、ある総合病院に勤務する20代の女性看護師。 ひとつひとつ思い返すように記者に話しました。 「二の腕を触られたり、手を引っ張られて手の甲にキスをされたり。シャワー入浴の際、介助の必要がないのに『一緒に入りたい』と駄々をこねる人もいます」 こうした行為をしてくるのは高齢の男性患者が多いといいます。
総合病院に勤務する20代の女性看護師 「最初はびっくりしました。いずれも認知機能はしっかりしている患者さんです。ただこういう仕事なので、ハラスメントという認識を持つのがなかなか難しかったです。仕事中は集中しているのであまり思わないんですが、仕事が終わってから思い出すんです。恐怖がのちのち来る…来ましたね」 「冗談でもやっていいことと悪いことがあります。やられた側がどう思うのかを考えてほしいです。あくまで医療従事者と患者の関係、その一線は守ってほしいです」
■面談室に6時間「お前の治療はどうなってんだ!」
ペイハラは医師に対しても。ある男性の外科医(50代)はこう証言します。 「治療の効果が思うように出ない患者さんがいたのですが、家族の方から強く厳しい言葉で怒鳴られました。『何やってるんだ!うまくいってないじゃないか!この病院どうなってんだ!お前の治療はどうなってんだ!ここじゃどうにもならない!今すぐ転院させろ!』と、病院の面談室で5~6時間続いたと思います。夕方にいらして深夜までやっていました」 転院して病状が改善することに医師は懐疑的でしたが、医師が家族の意思を尊重して主張を受け入れると、患者は転院したといいます。 「不安が高じて態度や言葉が強くなるのは人間なので仕方ないです。私たちはそういう状況が少しでも和らぐよう小まめに分かりやすく説明することに尽きます。ただ、なかなか聞く耳を持って頂けない患者さんやご家族も実際には存在します。『それはあんたたちのミスでしょ!』と」