「誰がお金を出してまで氷を買うのか?」と苦戦したが、いまや家庭の必需品…人気商品「ロックアイス」の「過去10年の販売袋数」が衝撃の数字だった!
「エアレーション」に秘密あり
純度が高い氷を作るには、水分子以外をできるだけ取り除く必要があります。そこでKOKUBOグループが取り入れているのが「エアレーション」という製造方法。 エアレーションの仕組みを簡単に説明しましょう。アイス缶の中心にある管から空気を出し続けます。そうすることで水がかき混ぜられて、空気や水中のいろいろな成分を抱き込むことなく氷ができていきます。氷は外側から厚くなり、水中にあるさまざまな成分は凍らないまま中心に集まってきます。最後に、中心に残った水を捨てることで、純度の高い氷ができあがります。アイス缶でできた氷は、中央がポッカリとあいている形になっていて、それを細かくして、ロックアイスと販売していきます。
ロックアイス、過去10年でどのくらい売れた?
ロックアイスは1973年に販売開始になっていますが、実はそれ以前から「かりわり氷」として販売されていました。もともとKOKUBOグループの前身は、石油プラントでしたが1947年に製氷業へと業種を変えています。でも当時は高度経済成長の真っ只中。自宅にも電気冷蔵庫が普及してきたので、氷は全く売れません。また袋に入れて販売しようとしても、肝心の袋が破れてしまうなど、苦戦の時期が続いていました。氷を販売するお店からも、誰がお金を出してまで氷を買うのか? と言われてしまうくらいでしたから、当時は非常に難しい局面だったことでしょう。でもそんなKOKUBOグループにも転機がやってきます。1974年から、コンビニでの取り扱いが始まったのです。コンビニで気軽に氷が買えるようになったり生活環境の変化などがあったりして、「ロックアイス」の認知度が上がり市場も拡大していきました。 そして過去10年で見ると、8540万袋の販売実績をもつ商品になったのです。
コンビニがきっかけに。「ロックアイスグラス」も人気商品に
KOKUBOグループでは、「ロックアイス」だけではなく「ロックアイスグラス」も販売しています。これはカップに入った氷で、KOKUBOでは2002年から商品開発を進めていました。でも、カップに入った状態の氷の需要は少なく、終売の危機にさらされることになります。そのような時に救ったのが、「ロックアイス」バカ売れのきっかけを作ったコンビニでした。 2013年からコンビニコーヒー用のグラス氷が大ヒットして、グラス商品の認知度も上がっていきました。そして現在ではSNSを中心に自宅で簡単にできる「カスタムドリンク」として話題になることも。 写真はオレンジジュースと飲むヨーグルトをベースにしたドリンク、グミと冷凍ベリー、サイダーを組みわせたドリンクです。バニラアイス、果物などを入れるとさらに美味しくなります。他にも炭酸飲料など、色のついたドリンクを使うことでSNSバエが狙えそう。