憲法に対する国家の解釈権行使を怠った…当時の吉田茂首相、東京帝国大学法学部の教授たちは〝占領軍の意向〟過剰に忖度
吉田は、占領軍によって48年に解散させられた内閣法制局を、52年7月31日に復活させた。この内閣法制局を自分のへ理屈を大仰(おおぎょう)に説明させるためには使ったが、憲法に対する国家として行わなければならない解釈のためには活用しなかった。
そのため、公職追放を戦々恐々として恐れた東京帝国大学法学部の教授たちは、占領軍の意向を過剰に忖度(そんたく)した。そして、彼らが編み出した、いわゆる「敗戦利得者憲法学」の解釈が日本を覆うようになり、今日に至っている。
■杉原誠四郎(すぎはら・せいしろう) 教育研究家、日本近現代史研究家。1941年、広島県生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。城西大学教授、武蔵野大学教授を歴任。現在、国際歴史論戦研究所会長。著書・共著に『日本の神道・仏教と政教分離』(文化書房博文社)、『吉田茂という反省』『吉田茂という病』(ともに自由社)、『安倍晋三の黙示録としての「要説・吉田茂という病」』(Kindle版)など多数。