「ようこそ」被災地七尾へ 地震後初、クルーズ船寄港
●320人、観光や買い物 「復興の手助けに」 商船三井クルーズ(東京)の豪華客船「にっぽん丸」(2万2472トン)が19日、七尾港矢田新第1埠頭(ふとう)に寄港した。能登半島地震後、能登にクルーズ船が入港するのは初めて。「ようこそ七尾へ」と歓迎を受けた乗客約320人は、「今行けるスポット」で七尾の文化や食を満喫し、能登の早期復興へ願いを込めた。 【写真】老舗ろうそく店で商品を購入する乗客=19日午前10時10分、七尾市一本杉町 にっぽん丸は15日に横浜港を出発し、北海道函館市や韓国・釜山などを訪れて23日に横浜に戻る。七尾港入港は2年連続で、商船三井クルーズが被災地支援で寄港地に選んだ。仲田敬一船長は「壊れたままの岸壁を見て被害の大きさを実感した。乗客に能登の現状を知ってもらえればうれしい」と語った。 七尾市などがバスで巡る4種類の観光コースを用意し、乗客は一本杉通りの老舗ろうそく店や和菓子店で「復興の手助けになれば」と商品を購入。花嫁のれん館、道の駅「能登食祭市場」などを回り、すしなどを味わった。 船内で行われた歓迎式典では、七尾港整備振興促進協議会長の茶谷義隆市長が「震災の状況を見て、多くの人に七尾は頑張っていると伝えてほしい」と呼び掛けた。夫婦で市内を観光した神戸市の尾崎文子さん(75)=加賀市出身=は「まだまだ地震の爪痕が残っている。復旧した七尾にまた来たい」と話した。 矢田新第1埠頭は地震で岸壁の一部が崩れたままだが、接岸するのに問題はなく、震災直後から被災市町の応援職員の休養施設として高速フェリー「ナッチャンworld」が停泊していた。隆起や陥没被害があった埠頭の仮復旧が8月末で完了し、客船を迎える態勢が整った。にっぽん丸は19日夕方、次の寄港地である鳥取県境港市に向けて出港する。