SNSで相次ぐ芸能人&YouTuberの“投稿ミスと炎上” 謝罪のプロに聞く、ベストな対応
世間を賑わせている、フワちゃんのSNSでの投稿ミスを発端とした炎上。昨今、SNSでの投稿ミスが相次いでいるが、そもそも投稿ミスを防ぐ方法はあるのか。今回は投稿ミスの防ぎ方や、投稿ミス後にどのような立ち回りが必要なのか、「謝罪のプロ」こと危機管理コミュニケーション専門家である増沢隆太氏の見解を交えて考えてみたい。 【写真】フワちゃんの謝罪文 世間に衝撃を与えたお笑い芸人・やす子に対するフワちゃんのXでの不適切発言。フワちゃんは問題となった投稿について、「アンチコメントについて話していて、偶然目にしたやす子さんの投稿に、「これにアンチコメントがつくなら。」といった趣旨で、本件の投稿の内容を記載し、その場にいた方に表示した画面を見せたところ、操作を誤って実際に投稿してしまいました」と、“投稿ミス”だったと説明。やすこと対面し、謝罪したことを報告したが、事態は収拾せず活動休止に追い込まれるなど、大炎上となってしまった。 投稿ミスといえば、なかには交際が発覚したアイドルとYouTuberも。ファッションイベントやテレビのバラエティ番組への出演など幅広く活躍するアイドルの戦慄かなのは、今年4月に元Repezen Foxxのメンバー・まるの写真をインスタグラムのストーリーズに投稿。戦慄がその後、投稿ミスであることを明かし、交際を宣言することとなったが、5月19日にはまるがグループから脱退し、その理由についてメンバーのDJふぉいから戦慄との関係だったことが明かされるなど、大きな騒動に発展してしまった。 このように、ネガティブな内容の投稿ミスは、好感度が重要なタレントやYouTuberにとって、致命傷になり得る。そんななか考えなければならないのは、「どうしたら投稿ミスを避けられるのか」という点だ。YouTuberや芸能人は、「公式」と呼ばれる仕事用のアカウントと、個人用・プライベート用のアカウントなど複数のアカウントを運営しているケースが多い。事務所が公式を運営、当人がそのほかのアカウントを投稿するなどルールがあればいいが、当人が全アカウントを投稿できるようになっている場合は、「感情の赴くままに投稿しない」ことが大事なのではないだろうか。そのためには、文章を打ち込んでから投稿するまでの時間をあけるといった対策が必要となるが、Xでは下書き保存が標準機能として実装されているため、とくにイライラしているときや気持ちが昂っているときには、こういった機能を使うことも投稿ミスからの炎上を防ぐのに有効だ。実際、増沢氏もミスを起こす前に策を講じる重要性について、言及している。 「芸能活動などで不特定多数に「発信」することを仕事となす場合、SNS=リスクという捉え方が必要です。リスク管理上は「一人で完結しない」「複数でチェックする」仕組みを構築すべきです。ネット上では鍵垢でも、スクリーンショットを撮りさえすれば、流出を防ぐことはできません。「危うきには近寄らない」ことこそ、芸能生活における絶対的安全保障です」 それでも万が一、投稿ミスしてしまった場合は、謝罪文を出すことになるだろう。しかしその謝罪文もまた、騒動をさらに大きくしてしまう可能性が。昨今、SNSでの投稿ミスに対する謝罪文では、「乗っ取り」「誤作動」というワードが使われるケースが散見される。その言葉の通りの場合ももちろんあるだろうが、今回のフワちゃんの謝罪文に関しては、「言い訳せずに普通に謝って欲しかったですね」「謝罪文に言い訳を書くのは御法度ですよ」といったコメントが多く寄せられ、さらなる火種になってしまった。 一体どういうことなのか。Xではアカウント名の横に青色の認証マークがついている「X Premium」ユーザーに向けて、投稿ボタンを押してから送信されるまでの時間を各自で設定、その間に送信を取り消す機能を提供している。初期設定でこの機能は「オン」になっているため、青色の認証マークがついているフワちゃんのアカウントでも、この機能は使えるはずだ。そういった背景から、「誤って投稿ボタンを押してしまっても、実際に投稿がタイムラインに表示されるまでの間に削除できるのではないか」というのがXユーザーの考えであり、「投稿ミスは嘘なのでは」という意見につながっているのだ。謝罪の注意点に関しては、増沢氏は下記のように述べている。 「それでも投稿ミスなど、「やらかし」をしてしまった場合、一般的な謝罪同様に、謝罪の3要件(※)に沿って、「迷惑をかけた相手に直接」「わかりやすく」「即座(できるだけ早く)に」謝るという原則は変わりません。迷惑をかけたなら、その相手に直接の謝罪が最優先です。トラブルが起きたオンライン上での対応は、アクセス稼ぎの炎上商法と思われるだけなので論外。ただし、直接謝罪といっても、これは対面を求めることではなく、会うことすらも嫌悪する相手の気持ちを最優先し、まずはメール、手紙など非対面での意思表示から始め、先方が会うことを許した場合のみ、直接対面するなど順番があります。 また真の理由や原因はわかりにくいことも多いため、大切なのは説明が本当かどうか以上に、わかりやすくお詫びすることが重要です。一般的には「止むに止まれぬ事情」の説明より、「自分が愚かで短慮」であることで十分なことがほとんど。理由が真実なら許されるのではなく、相手が許せる気持ちになるかどうかで謝罪の正否は決まります。自己正当化や他責は、まず許す気になるはずがないので絶対に避ける。「すべては自分がバカだから」こそ、最強の理由となります」 XやInstagramなどSNSはいまや人々の生活に根付いており、多くのユーザーが使いこなしている。だからこそ、今回のフワちゃんの謝罪文は残念ながら誠意がないものとみなされてしまった訳だが、こういった炎上はなにも芸能人やYouTuberだけに当てはまるわけではない。SNSを利用する際は、普段からその時々の感情に任せず一旦冷静になる、投稿ミスを防ぐ機能を活用する、謝罪文では自己正当化や他責を避けるといったことを心がけたいものだ。 ※出典:『謝罪の作法』増沢隆太(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
せきぐちゆみ