自分だけが気づいていない?誰にでも可能性がある「疲労臭」…においのエキスパートが教える改善法と対策
臭い対策には“ミョウバン水”の出番
ただ、このように食生活を注意し、ストレスや疲れを癒しても疲労臭は出てしまうことがある。関根教授はそんな時の備えとして、スーパーなどで手に入る「焼きミョウバン」を勧めている。 焼きミョウバンは食品添加物のひとつで、漬物の色を鮮やかにするために使われたりするが、殺菌効果があるほか、疲労臭にも効果がある。アンモニアはアルカリ性で、焼きミョウバンは水に溶けると酸性になるので、においの中和反応が起きるというわけだ。 焼きミョウバンを水に溶かした“ミョウバン水”を作り、気になったタイミングで、臭いと感じる体の箇所や衣類にシュッと吹きかけるだけでも、においを和らげることができるという。 「簡単に作れるので、小型のスプレーなどで持ち歩いてはいかがでしょうか」 自分のにおいが気になると、香水でごまかしたくなる人もいるかもしれないが、こちらはアンモニア臭が逆に際立つこともあるので注意が必要。使うなら比較的相性の良い、フローラル系(ローズ、ジャスミンなど)がお勧めだ。
臭いは衣類や靴にも染み付く
皮膚からガスとして放出される疲労臭だが、汗をかくと衣類や靴が臭くなることがあるように、疲労臭も着ているものに染み付いてしまうと、関根教授は話す。 そのためできることなら、衣類はゆったりして通気性がよいものが望ましい。疲労臭は特に足に出やすいため、靴は疲れにくさで選ぶのがお勧め。ハイヒールやパンプスは疲れやすいものもあるので、注意してほしいとのことだ。 一方でアンモニアは水に溶けやすいため、疲労臭は一般的な洗濯で落ちるともいう。臭いかもしれないと思ったら早めに洗濯をして、風通しの良いところで干すようにしよう。 関根教授は「体臭は誰もが持っているので過剰反応する必要はないですが、心身の調子が良くないことを伝えるサインとなっていることもあります」と話す。いつもと比べて明らかに臭いを感じたり、体調不良が重なったりした場合は、病院での受診も考えてほしいという。 においは人間関係にも影響してくる。ストレスや疲れ、食生活の乱れを感じているなら、リラックスする時間を作り、腸内環境を整えてみるといいかもしれない。 関根嘉香 東海大学理学部化学科教授。専門は室内環境学、皮膚ガス学で、アジアの大気環境やシックハウス症候群の予防・改善などを研究。人間から放出される「皮膚ガス」と健康状態の関連を研究している、においのエキスパートでもある。これまでに環境化学技術賞(日本環境化学会)などを受賞。著書に『皮膚ガスのはなし 体臭は心と体のメッセージ』(朝倉書店)などがある。
プライムオンライン特集班