ガザの休戦見通せず 戦争しているのに機能しないイスラエル政府
地政学・戦略学者の奥山真司が2月8日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。4ヵ月が経過したイスラエル軍とハマスの戦闘について解説した。
イスラエル軍・ハマスの戦闘開始から4ヵ月、休戦見通せず
ロイター通信によると2月7日、アメリカやカタールなど4ヵ国が提案したパレスチナ自治区ガザにおける休戦案について、イスラム組織ハマスの返答は、イスラエル軍のガザ完全撤退を含む内容だと報じた。イスラエルはハマス壊滅を目指しており、休戦は見通せない情勢。 新行)現地2月7日で戦闘開始から4ヵ月になります。
連立政権の極右政党の言いなりであるネタニヤフ首相
奥山)10月7日に始まって以来、戦闘が続いています。当初はイスラエルへのハマスによるテロ攻撃だということで、ある程度はイスラエルを正当化する議論がありました。しかし、イスラエルの現在のやり方がかなり過激で、流石にアメリカでもバイデン大統領だけでなく、トランプ前大統領までもが批判するくらい苛烈な戦闘が行われています。 新行)そうですね。 奥山)日本での報道だと、「イスラエルとハマスは仲が悪い」という状況を見がちです。イスラエルはハマス側の休戦案を拒否していますが、核心にあるのはイスラエル政府の機能不全であり、日本ではそこがあまり伝わっていません。英字新聞などで情報を取ると、イスラエル政府において、ネタニヤフさん自身も「リクード」という右派政党なのですが、さらに右側にはいくつかの小さい政党があります。その極右勢力との連立で政府をつくっているのです。あまりにも連立政府の極右側におもねりすぎて、ネタニヤフ首相がほぼ動けない状態にある。それは我々も認識しなければいけません。戦争を終わらせられない状況があるのです。
イスラエル政府が閣議を開けない酷い状況
奥山)首相はネタニヤフさんですから、彼が運転席にいてハンドルは握っているものの、いまは助手席にいる極右勢力の人々が「右に行け、左に行け」と指示している感じです。ネタニヤフさんは首相として居座りたいがために、極右勢力の言うことを聞いており、イスラエル政府は閣議も開けないという酷い状況なのです。 新行)開けないようにさせられているのですか? 奥山)連立政権のなかで意見の相違があることは極右勢力もわかっているので、「閣議を開いたら解散する。お前のことを支えないぞ」と言われており、ネタニヤフさんは何もできないのです。