インディーズアーティスト日本一はスネアカバー 10日ドイツ世界大会へ
聴衆の挙手の数による得票数上位6組が、4人の特別審査委員の選考の対象となる。スネアカバーは6位にまず入選。どのバンドも最大限の力を出して、それぞれ聴衆を魅了していた。厳しい意見で激論が交わされた末、スネアカバーが日本大会の優勝者に選ばれた。 「優勝するというイメージしかありませんでした。厳しいな、難しいかな、と不安になる気持ちを自分の中で排除していました」 実力、パフォーマンスに素直に感動してくれた聴衆の応援、そしてマイナスをプラスに変える強いメンタルがスネアカバーを優勝に導いた。 スネアカバーが勝ち得たのは、優勝の二文字だけではなかった。ソロアーティストとして初、地方のアーティストとしても初の優勝だ。加えて、今年11月に青山公園(東京)で開催されるドイツフェスティバルで演奏することができるドイツ大使館賞、サザンオールスターズや安室奈美恵などのミュージックビデオを手掛けた映像ディレクター川村ケンスケ率いるKampsiteにミュージックビデオを作製してもらえるKampsite賞も、スネアカバーの手に渡った。さらに今後、渋谷、秋葉原、池袋の街頭ビッグビジョンで、1年間に渡って1時間おきにスネアカバーのプロモーションビデオが流れるという。
いざ、ドイツの世界大会へ
さあ、次はドイツでの国際戦だ。8月10日から13日の4日間に渡って、中世のドイツの町並みがそのまま残る美しいローテンブルクで開催されるタウバタール・フェスティバル。その第2ステージで、今年は34カ国20組(小国からの出場者は隣国の決勝戦に出るため)のバンドが世界一を目指して演奏する。 4000人の聴衆の前での野外ステージを制すれば、最終日には3万人の聴衆が待つメインステージで演奏する権利が得られる。さらには、来年2週間のヨーロッパツアーも実現することができる。
優れたミュージシャン、バンドを発掘するという側面もあるエマージェンザにおいて、スネアカバーという逸材は大発掘だったと、エマージェンザ・ジャパンのメインMCを勤め、自身もバンドマンであるTAKAさんはいう。 「ソロアーティストの日本大会優勝はスネアカバーが初めて。ひとりでできることには限界があるというこれまでの常識を覆してくれました。ドイツでも、あの圧倒的な歌唱力と、ステージでのアレンジとスキルで盛り上げることができたら優勝の可能性は充分あると思います。こういうアーティストが日本にいるというのを、世界に示せることが嬉しいですね」 国際戦を前にさぞ緊張しているかと思いきや、スネアカバーの斎藤はむしろこの状況を楽しんでいた。プレッシャーより期待感の方が大きいと、斎藤は言う。 「ドイツでの国際戦を前に、いろいろと作戦を練っているところです。世界大会を前に新調したテイラーのギターでは、よりレンジが広くなり、温かみのある、太さのある音が出るようになりました。簡単ではないけれど、会場が大きくなればなるほどわくわく感が高まっているし、アウェーになればなるほど試されている感覚にそそられています」
日本の北海道からたったひとりで大会に挑むスネアカバー。今まで客席で支えてくれていたファンは、4000人の中にほぼいない。 「それでも、国際大会でも優勝あるのみだと思っているんです。今までこんなにも支えてもらってきた。その恩返しなんていったらおこがましいですが、送り出してもらえるという喜びが僕の自信に直結しています。てっぺん獲って帰ってきます!」