初産年齢の高齢化でも話題に「妊活」とは何だろうか?
これらの医学的事実からも、妊娠・出産の適齢期は男女とも20歳代であることが明白であり、この事実を若いうちに知識として得て自らのライフプランを設計していただきたい。さらに、出産がゴールではないこと、その後、20年から25年にわたる育児、子育てがあることを強く意識してほしい。20歳代前半で結婚された夫婦は結婚後10-14年で2.09人、児を産んでいる。しかし、30歳代後半で結婚した人は1.16人しか産んでいない。しかしどの年代で結婚した夫婦も希望の児の数は2.4人である。この高齢で出産児数が少ない理由は年齢とともに妊娠する能力が衰えるだけでなく、体全身の健康が損なわること、健康でも体力全体が衰えること、定年までに子どもが育たないこと、親の介護が始まったことなど、さまざまな理由があがられる。 また、子育て環境も重要である。いろいろな行政の支援システムができているが、子育ての時期は、支援してもらえるなら何でも利用するのが大切である。特に、親や兄弟、学校の時の友人などが近くにいて、子育て支援を補助してもらえると、仕事も家庭も順調となる。すなわち自分たちの生活する社会環境をどこにするかも、妊活の一つなる。 このように、「妊活」とは、単に妊娠することを意味するだけでない。若いうちから妊娠するための医学的知識、社会学的知識を得て、妊娠・出産・育児がしやすい環境を自ら整えることも「妊活」の重要な要素なのである。 --------------- 齊藤英和(さいとう ひでかず) 1979年:山形大学医学部卒、2002年~:国立成育医療研究センター、周産期・母性診療センター、2013-2014年:内閣府「少子化危機突破タスクフォース」座長。著書:「妊活バイブル」(講談社)、『「産む」と「働く」の教科書』(講談社)