台湾BLドラマ『奇蹟』のナット・チェン(陳柏文)&ルイス・ジャン(姜典)にインタビュー!【Kiseki Vol.2】──「このふたりの“ギャップ萌えポイント”に注目してほしいです」
新世代の若手俳優が結集した台湾発のBLドラマ『奇蹟』が日本でも大きな話題になっている。昨年末、キャスト13人で来日を果たした際、『GQ JAPAN』は全員へのインタビューを敢行! その第2弾は、物語のサブCP(=カップリング)であるチェン・イーとアイ・ディーを演じるナット・チェンとルイス・ジャンだ。 【写真つきの記事を読む】2人のカッコいい写真をもっと見る!(全13枚)
『奇蹟』のサブCP(カップリング)は、ヤクザ組織のメンバー同士であるチェン・イーとアイ・ディーだ。アイ・ディーは幼馴染みであり親友のチェン・イーを思い続けているが、チェン・イーの心は義父である組織のボスに向いている、ということも知っている。さらに、そのボスは組織のナンバーツーと親密になっていて……。すれ違うふたりの切ない愛に引き込まれる。 チェン・イーをクールに演じたナット・チェン(陳柏文)は、学生時代はバスケットボールのスペシャリストだったそう。アイ・ディー役のルイス・ジャン(姜典)は、ドラマ『愛的奧特萊斯』(原題)で金鐘奨ミニシリーズ新人賞を獲得した期待の実力派だ。東京で行われた『奇蹟』のファンミーティングでは、ナットはよくしゃべる明るいキャラクターを発揮、ルイスには客席から「可愛い~!」という声が飛んでいた。 台湾の若手俳優のなかでも人気急上昇中の2人に、『GQ JAPAN』がインタビューした。 ──ご自身にとって『奇蹟』での一番のチャレンジは何でしたか? ナット:僕が演じたチェン・イーと僕自身のキャラクターの違いが一番のチャレンジだったと思います。チェン・イーは自分自身を抑えていて、何が起こっても言葉にも感情にも出しません。僕は、ストレスや悩みがあれば友達に話してリラックスもできるし、メリハリがつけられますが、そういうことのないチェン・イーを演じるのには感情の出し方がとても重要でした。 ルイス:僕が演じたアイ・ディーは感情的な性格ですが、『奇蹟』はBL作品なので、いかにもヤクザ映画に出てくるようなキャラクターになってはいけないと考えていました。アイ・ディーの荒い面とチェン・イーを思う優しい面のバランスをどうコントロールするか、役作りの段階ではけっこう時間がかかりましたね。アイ・ディーが持つ、その二面性の核心とは何なのかを常に考えて演じることが一番の挑戦でした。 僕自身はそんなに感情を表に出す人間ではないし、アイ・ディーの性格とも違います。それに、僕が今まで演じてきた役って、いい子が多かったんですよ。アイ・ディーのような暴れ者のキャラクターを演じたのは初めてです。でも、彼が大事にしている部分は僕と似ているかもしれません。 ──アクションシーンもたくさんあって迫力がありました。 ナット:アクションシーンは想像以上に難しかったです。練習のときはよくできたのですが、撮影本番では何回も繰り返さなければいけなかったので、体力の消耗が激しかったんです。例えば、回し蹴りは体力がなくなると脚に力が入らなくなるので、カッコ良さが全然変わってきます。 でも、アクションで体を使うことよりも疲れたのは、相手を傷つけないように気を遣うことでした。力を出しっ放しにするのではなく、逆にどう抑えるかということを常に考えなくてはいけないのが大変でした。 ルイス:ふたりでアクションをやるときは、殴る方も殴られる方も実際にやっているように見せないといけません。本当はお互いに触れていないのですが、力を入れすぎたら相手を傷つけてしまうし、力を入れないのもニセモノだとバレてしまう。ちょうどいいところで力を抑えなくてはいけなくて、ベストなポジションでカメラに映り、実際に殴られているように見せるのは、とても難しかったです。 ──ふたりが背中合わせでアクションをする姿が印象的でした。 ルイス:あのシーンは地面の土砂がすごい場所で撮影していました。アクションをやると衣装も僕たち自身も汚れてしまい、何テイクも撮るから、その度に衣装も僕たちもきれいに直さないといけなくて、スタッフさんがとても大変だったと思います。 ──ルイスさんは身長175cmですが、ドラマでは小柄なキャラクター設定ですね。劇中、ナットさんに背負われたり横抱きをされたり、あるいは首根っこを掴まれたりしている姿がとてもキュートで印象に残りました。 ルイス:ナットとの共演シーンがあると、僕は必ず何かされるんですよ!(笑) 担がれたり腕を掴まれたりしますが、ふたりの間のやりとりにも迫力を出さないといけないので、いつもリアルなんです。 ドラマの設定では、暴れるアイ・ディーをこの世で唯一コントロールできるのがチェン・イーなんです。だから、チェン・イーは全く力を入れずに、アイ・ディーのことをひょいっと扱えて、何でも簡単にできるように見せなければいけません。でも、実際の僕の身長は175cmだから、簡単にはいかないんです。そういうキャラクターの関係性をどうやってカメラに見せられるか、力をどうコントロールするかが重要でした。 ナット:いつもアイ・ディーを抱えたり抱っこしたりしていましたが、僕はそれを簡単にできるように見せる演技をしないといけませんでした。なかでも、アイ・ディーを引っ張って自分の胸に抱き寄せるシーンが2、3回あったのですが、それがとても難しかった。普通はぶつかられたら、ちょっとよろけて後ろに下がりますよね。でも、それが1ミリも許されない。チェン・イーはすごく力が強いという設定なので、微動だにせず無表情でいなくてはいけないんです。 ルイスはルイスで、アイ・ディーの演技をしなくちゃいけません。僕はルイスが安心して自分の演技に集中できるようにしてあげられる存在じゃなければいけない。 ルイス:(話を聞きながらずっと顔を揉んでいて)いま顔がむくんじゃって……。 ナット:かわいこぶってる!(笑) ──チェン・イーはボスへの、アイ・ディーはチェン・イーへの、それぞれ一方通行の恋愛感情を抱いているうえ、好きな相手の好きな人まで知っているという状況です。もし、それがご自身の恋愛だとしたらどうしますか? ルイス:僕は傷つきやすいから諦めちゃう(笑)。もし僕が、好意を持たない人から好かれたとしたらプレッシャーになるので、自分の好きな相手に自らプレッシャーをかけることはしたくないです。 ナット:僕もルイスと全く同じで、相手にプレッシャーをかけたくない。そういうのはあまり楽しいことではないですよね。僕は好きな人ができたとしたら、口説くのではなく、相手を理解しよう、一緒にいようとします。それでお互いにいい感じだなと思えたらいいし、もしどちらかが、あんまり……となれば諦めますね。 ──最後に、それぞれのおすすめシーンや注目してほしいポイントを教えてください。 ナット:チェン・イーは組織のボス(義父)にずっと片思いしています。アイ・ディーがチェン・イーのことを「お前は好きになっても勇気がないんだ」とディスるから、チェン・イーも「これって本当に好きなのか、それとも本当はただの憧れなのか」と考え込んでしまい、ボスが自分をどう見ているのかと気にします。こういうことって、皆さんにも経験があるんじゃないかなと思います。 あとは、ひとつ印象に残っているセリフがあるんです。第9話でチェン・イーとアイ・ディーが言う「俺を“ずっと見てる”って」「お前が始めたんだぞ」というやりとり。ぜひこのセリフにも注目してほしいです。 ルイス:僕は、もしBLが好きな人なら、このふたりの“ギャップ萌えポイント”に注目してほしいですね。身長やルックスだけではなく、キャラクターなどにもいろいろな違いがあるので、そこに注目してください。 BLに馴染みのない人でも、みなさん、片思いを経験したことがある人はたくさんいると思います。僕自身は諦めちゃいますけど(笑)、アイ・ディーは諦めません。諦めないからこそ、ふたりは誠実に向き合うことができて、最後にふたりにとっての幸せな未来を迎えられる。そこに注目して見てくださいね。 【お知らせ】 撮影の様子をおさめたショートムービーを、Instagramに近日投稿予定! @gqjapan をフォローしてお待ち下さい。お楽しみに! GQ JAPAN公式Instagramアカウント:https://www.instagram.com/gqjapan/ ナット・チェン(陳柏文) 1996年12月19日生まれ。身長186cm。バスケットボールのスペシャリストとして大学に通っていたところ、偶然ドラマの撮影に参加することがあり、演技に興味を持つ。在学中からモデルとして活躍。卒業後、本格的に俳優の道に進むことを決意。 ルイス・ジャン(姜典) 2000年12月21日生まれ。身長175cm。大学在学中から、数多くのMVや短編に出演。2021年に参加した安竹間監督作品のLINEドラマ『愛的奥特萊斯』で、第57回金鐘奨にてミニシリーズでの新人賞を獲得した演技派。 『奇蹟』 Rakuten TV、ビデオマーケットにて全話好評配信中! ©2023 “KISEKI: DEAR TO ME” Partners All Rights Reserved. 公式ホームページ:https://www.cinemart.co.jp/dc/t/kiseki.html Blu-ray BOX & DVD-BOX<初回限定版> 2月9日(水)発売 BD:16,500円 DVD:13,200円(税込) 発売元:エスピーオー/Rakuten TV/ビデオマーケット 販売元:エスピーオー 取材と文・小俣悦子、写真・ホシダテッペイ、編集・横山芙美(GQ)
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