連敗でリーグ首位陥落の三遠ネオフェニックス、太田敦也が強調する復調への鍵「一人ひとりの意識が大切になっていきます」
「今回が最後になるかもしれない、そういう意識で全力で臨んでいきたい」
こう太田は自分のやるべきことを語り、有言実行で身体を張ったディフェンス、味方を生かすスクリーンなど、スタッツに出ないハードワークを遂行している。そのプレーの質は年齢による衰えを感じさせないが、太田もそういった認識はない。「昔に比べれば、体力的には落ちています。でもスタッフ陣のサポートのおかげもあって、ケガなく普通に動けていると思います。あとはもう気持ちです。昔と比べると、プレータイムが短くなって、へこんだりすることもあったりしますけど、そこをうまくケアできればまだまだプレーできると思います」 そして今シーズン、日本人ビッグマンとしてリーグ屈指の活躍を見せている同級生の竹内兄弟(公輔、譲次)の存在は、「なんかバチバチやりたいなという風に思いますよ(笑)」と刺激を受けているようだ。 連敗中とはいえ、現在の三遠は34勝9敗の中地区首位で、2位のシーホース三河に7ゲーム差をつける独走体制だ。Bリーグ初年度以来となるポストシーズン進出の可能性はかなり高い。当時のメンバーで、現在も在籍する唯一の選手である太田は、チャンピオンシップ(CS)への強い思いを語る。 「他のチームより先にシーズンが終わって、携帯とかでCSの試合を見るのは結構悲しいですし、いいなと思っていました。ずっと画面越しに見ていた舞台に久しぶりに立てるチャンスがあるのでつかみ取りたいです。そして、今回が最後になるかもしれない、そういう意識で全力で臨んでいきたいです」 余談だが、太田との囲み取材中、彼を慕っている川崎の藤井祐眞が乱入してきた。「チームが苦しい時にこそ、泥臭いプレーでアツ(太田)が頑張らなあかん。ポンプフェイクからのアンド1が俺、好きなんよ」とエールを送ってくれた。 藤井が言うように、苦しい時期にスタッツに出ない泥臭いプレーが悪い流れを変えるきっかけになることはよくある。苦境に陥っているからこそ、コート内外において百戦錬磨のベテランである太田の経験、ハードワークが必要になってくるはずだ。
鈴木栄一