スポーツ用品販売 シラトリ 学販事業参入 地域密着、将来顧客獲得へ 御前崎の老舗同業店買収
スポーツ用品販売のシラトリ(静岡市)は6月、後継者不足に悩む地域の老舗同業店を買収し、学生の体操服や上履き、部活動のユニホームなどを提供する学販事業に乗り出す。人口減少に伴う需要縮小が懸念される中、児童生徒とのつながりを将来の顧客獲得への足掛かりとする。大型店販売や通販事業にも力を入れつつ、地域密着型のビジネスでさらなる浸透を図る。 買収するチヨダスポーツ(御前崎市)は1960年に創業し、地元の小中学生からスポーツを楽しむ大人まで幅広い世代に親しまれてきた。かつては周辺市町を含む3カ所で店舗を展開したが、現在は1店舗での営業。21年前に死去した創業者の沢入隆さんから経営を受け継ぐ妻のこまつ社長(83)は「自分も高齢になり、後継者もいない。いつまで続けられるか」と、島田掛川信用金庫に事業承継を相談していた。 学校で使う体操服などは地元のスポーツ用品店を通じて販売されるのが一般的だが、特注のため手が回らずに供給元の大手メーカーが撤退するケースも出ているという。シラトリの西丸聡司社長は「商売のボリュームは大きくないが、地域の重要なインフラ」と考え、静岡銀行の協力も受けてチヨダスポーツの買収を決定。シラトリが持つメーカーとの強い関係性や在庫機能を生かすことで、より安定した供給が可能になると見通す。 県内外11店舗を展開するシラトリの売上高全体に占めるEC(電子商取引)の割合は12%に上り、来年度には最大規模のスポーピアシラトリ静岡店の額を上回る勢いで伸びている。一方で対面販売の売り上げは横ばいで推移し、人口減少が下押し要因として今後影響力を増す可能性もある。西丸社長は活路の一つに地域との信頼関係強化を掲げ、「後継者不足などに悩む店舗は多いと思う。地域とともに共存共栄を図りたい」と語る。 買収後のオープンは6月1日。店名と従業員の雇用は維持する。
静岡新聞社